剪定した時に挿木をしておいたものが、苗木として育っていますので、鉢栽培をしてみることにしました。品種は「デラウェア」と「カベルネ ソーヴィニオン」です。
前者は育てやすく、わが国で古くから人気の品種です。後者はワイン作りの品種として世界的に有名なものです。両者とも雨や過湿を嫌うので、鉢栽培としてベランダの軒下で育てることにしました。
さて、ブドウは簡単に挿木で殖やせるのですが、接木されたものに比べると、病害虫の被害が心配です。まず浮かんでくるのは「ウイルス病」ですが、これは素人では手に負えない存在ですから考えないことにします。
次に注意しなければならないのは、「つる割病」「枝膨れ病」「根頭癌腫病」ですが、これは特別な準備も必要なく、苗木を植え付ける時に誰でも簡単に予防することが出来ます。
<さあ、やってみよー!>
鉢から抜き、土を落とす
土を落とすとたくさんの根っこが出ていることがわかります。
根っこを切る
上の方の根を残して、後は切ります。
こうすることで、低く仕立てることができます。
(ベランダでの鉢栽培では、低く小さい苗が重宝です。)
切り口にはトップジンを塗っておきます。
剪定する
2芽ほど残して剪定します。
根っこと同じく、切り口にはトップジンを塗っておきます。
用土を水で洗い落とす
お湯につける
今回のポイントです。
準備できた苗木を50℃の湯に30分浸します。
三つの病気は高温に弱いので、これで殺菌処理となる訳です。
注意しなければならないのは、30分間50℃を保つことです。
写真のように温度計を用いて温度を測定し、温度不足にならないようにお湯を補ってやります。
当然のことですが、これはブドウ自体にとって危険を伴います。50℃以上の高温になると発芽に悪影響がありますので、確実に50℃を維持してやることが大切です。
植付ける
温湯消毒が終わったら、植付けですが、新しい赤玉土など清潔な用土を用いましょう。
赤玉土は霜柱が立ちやすいので、ピートモスなどで敷きワラをしてやること。
それに出来るだけ日当たりの良い軒下などで越冬させ、用土を冷やさないようにして、一日でも早く根付かせてやりましょう。
************
なお、本格的な栽培の苗木を購入する場合には、専門業者で「ウイルスフリー苗」を指定することでしょう。
これは、微細な生長点を切り取って増殖させた苗木ですので、高い技術や手間を必要とします。そのため、当然価格も高くなります。しかし、こうした苗木は先に挙げた三つの病気の除去にもつながっていますから、非常に品質の高いものとなっています。それに、いつでも入手出来るものではないので、入手したい場合には、少なくとも一年前位には、良心的な業者に予約しておく位の配慮をしたいところです。
『苗木の温湯消毒』に適した刃物
アルスには用途や好みに応じた様々な剪定鋏が揃っています。
わかりやすく比較できる一覧ページをぜひぜひご覧ください・・・