「皐月（サツキ）に咲く躑躅（ツツジ）」ということから、サツキツツジと名付けられたのですが、「サツキ」の名で親しまれています。
特に手入れをしなくても、こんもりと茂る性質は、枝先に蕾ができるため、枝は直線的に伸びられず、丁度、摘心されたように、枝先が四方に広がることによります。
小枝が密に茂ることから、縁取りや生垣にも用いられますが、スッキリ仕上げるには、花の終わった時が刈り込みの適期です。
放任しておくと樹形が乱れるだけでなく、花の後に実が出来てこれに養分が集まり、枝の充実が妨げられます。
多くの樹種では、葉の付け根に葉芽があるので、剪定に際しては緑葉を残すのが安全ですが、サツキは葉を落とした部分からも元気に新芽が伸び出してくれるので、刈り込みには余り神経質になる必要はありません。
ただ、刈り込み時期が遅れると、来年の開花が期待できなくなります。花芽は、今年のよく充実し、しかも盛夏には伸長が停止している新枝の先端にできるからです。
(1)もち病 (2)さつきの挿し木(3)前年と今年の枝
刈り込みに際して、特に注意することはありませんが、若葉が餅(モチ)のように白く腫れ上がる「もち病」がよく寄生しますので除去しておきましょう。（写真(1)）
強い刈り込みを行うと、元気な新芽が伸び出しますが、当然、養分の補給が大切ですから、追肥を忘れないようにしてください。また、株元に直射日光が当り、根が乾燥で弱ることがありますので、敷きワラをしておきましょう。
サツキをはじめ、ツツジ類の根は繊細で、しかも直根が地下深くに伸びないので、梅雨明けからの乾燥被害を受けやすいのです。
(4)枝を外した状態 プロの刈込作業1 プロの刈込作業2
摘み取った枝の中で、よく充実した枝は、挿し穂として利用できます。写真(2)のように、よく切れる刃物で10cm位に切り揃え、鹿沼土に挿すのが最適とされています。
古くからの挿し穂作りでは、写真(3)(4)のように、手で枝を横に引っ張って外すと、前年の枝の一部がくっついて離れます。その状態が丁度「踵(ｶｶﾄ)」のような感じなので「踵挿し」とも呼ばれます。
若い枝の場合、切り口をきれいに切っておかないと、切り口が腐敗して発根しなくなることがありますが、前年の組織は自然に外れた状態で破壊が少ないので、組織の傷みが少ないのでしょう。
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