デラウェアはブドウの代表品種ですが、我が家で育てるデラウェアは人気がありません。果実が小さいこともありますが、ジベレリン処理をしないため、 種ありであることが苦手な方も多いです。
私の場合は、果皮のみを出して果肉を噛まずに丸呑みするので、種子の有無は関係なく、「種あり」の状態でも美味しいのですが…。 そうしたことでデラウェアの代わりに、育てやすく果実も大きい品種のマスカット・ベリーA を育てることになりました。
しかし、個人的に、想い出のあるデラウェアも残しておきたいので、冬に挿木をし、鉢上げをしておきました。庭の片隅に置いておいたのが、よく見ると結実している株がありました。
こうなるとこの結実している株の存在意義は一気に上昇し、堂々と鉢植えしてベランダ植物の一員になりました。しかし枝が伸びっぱなしになっているので、誘引整枝をしてやります。ブドウの誘引は「行灯仕立て」がよく行われているようです。
しかしこの株は枝が少ないですし、葉も小さくて節間も短いので、二本の支柱を立てて、それに誘引し直立した樹形にすることにしました。
直立仕立ては行灯仕立てよりも簡単に誘引できますし、枝を傷めたり折ったりする危険が少なくなります。それに占拠する空間が小さくなりますので、ベランダ栽培では重宝します。
さあ、やってみましょう!
まず二本支柱を立てます。支柱が倒れないように、今回は、ワイヤーで鉢と固定しました。
支柱に沿わせるように、麻ひもで誘引していきます。つるが揺れるとストレスを感じ、それ以上伸びなくなってしまうので、誘引して生長促進してやります。
さて、どんどん誘引していきます。支柱の間に篠竹を張り、間にも誘引できるよう手助けをしてもらいます。短めの枝はこちらを使って誘引していきます。
向かって左側の枝の誘引ができました。次に右側の枝ですが、あまり強く伸ばすと枝を傷めたり折れてしまう危険がありますので、麻紐で篠竹からぶら下げるようにしました。
今回の留意点
①主枝の分かれ目で割けないように、麻紐で保護してやること、②誘引した紐が枝に食い込まないようにゆとりを持たせておくこと、に注意しましょう。
青虫がちょうど孵化しようとしていました。葉を食べられてはいけませんので、駆除しておきましょう。2本めの篠竹(しのだけ)を張りました。右側の枝の葉をこちらに誘引していきます。
篠竹は長さに合わせてカットできるところが利点ですね。
左側に垂れ下がっていた枝をもってきました。
最後に真ん中に持ってきた枝をバランス良く、調整して完了です。
すっきりしましたね。このあとの生育も楽しみです。
これにて本日の作業は終了です。鉢上げしたものを、一回り大きな鉢に植え替える際には用土を落とさず、根を乾かしたり傷めないよう注意しましょう。
もしも失敗した場合には落果が起こるかもしれません。しかしこれによって株の衰弱枯死が防げます。
植物の場合には、枝葉に危険(しおれなど)が生じた場合、蕾・花・果実がついていると、まずこれらを落とすことにより身を守ろうとします。生殖生長よりも、栄養生長を優先しているのでしょう。
鉢栽培の魅力はいくつもありますが、ブドウの場合では、欧州ブドウが可能になることが挙げられます。米国系品種と違い露地栽培をしますと病気が出やすく、果実も途中までは育ちますが、収穫直前に、日本の気候では梅雨時期に、実が破裂してしまう(裂果)など、家庭栽培には不向きです。
ところが、鉢植え栽培で、日当たりがよく雨の当たらない軒下で栽培をすると、裂果の心配もなく、栽培を楽しめます。
写真はカベルネ・ソーヴィニヨンですが、秋には収穫と見事な紅葉を長期間楽しんでいます。
ブドウ栽培の害虫について
鉢植えモモにアブラムシが住み着き、アブラムシの排泄物である甘い液体につられ、アリが這いまわるようになっていました。急いでオルトランを散布しました。
鉢植えブドウの誘引に適した刃物
アルスの技術で軽量化を実現しました。刃先の長いU-600Lは、堺刃物の伝統を汲む鍛造刃を採用。 アルス独自の熱処理を施した強力な刃先は、いつまでも精度が高く、バラつきの少ない切れ味を保ちます。西先生も愛用のはさみです。
7月に突入しましたね。今回の取材の日はとても暑く、これからの夏の作業は気をつけないとなあ~と改めて感じました。みなさん、作業の際はしっかり防暑対策してくださいね。西先生のご自宅の果実もどんどん実をつけていき、収穫の時が楽しみだなあと伺うたびに思います。ベランダ栽培や狭いお庭でも果実は立派に育ってくれますよ。
実は前回鉢植え栽培用にユスラウメの取木をしました。あと半月くらいしないと芽は出ないでしょうが、今から育てるのがとても楽しみです! また記事にしてお届けしたいと思います。