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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

キンカンの扇仕立て


キンカンは小枝がよく発生し、
放任していても樹木はこんもりと形よく繁ってくれます。
場所にゆとりがあり、手入れができない場合などには
誠に貴重な果樹のひとつです。

果実は枝先に着きますから、
季節になると樹冠全体が黄金色に包まれて
素敵な景色になります
我が家でも鉢植えにしているのですが、
庭が狭いのでコンパクトに仕立てることが第一条件です。
そこで思いついたのが「扇状」に仕立てることです
放任された株を観察しますと、
葉の茂った樹冠の部分に結実していますが、
内部の日光が届かない部分は枝が枯死しており、
当然のことですが結実は見られません。
果実は葉の茂った緑枝に着くわけで、
それには日光が届くように仕立ててやる必要があります
その場合、立体的な樹形だと「陰」ができやすいものです。
平面的に仕立てて、
枝を南北に広げるようにしますと
どの枝にも少なくとも半日は直射日光が当たるはずです。
多くの植物の栽培で、
1日に4時間以上の直射日光を当ててやると良いと言われています。
そこで今回は扇状仕立てにしようと思います
要領は簡単で、
支柱を用いて枝が重ならないように誘引していきましょう。


さあやってみましょう!

現状の確認

どの植物でもそうですが、
中心部の直立した枝は徒長する傾向があります。
この株の場合もその通りなので、
今回は枝先を横に倒して徒長を防ぎ、
下部の枝の充実を図る作業を行います。
よく観察してみますと、葉っぱの裏に模様ができています。

これはハモグリガの幼虫による被害です。
果実への影響はまれだそうですが、必要に応じて防除しましょう。

またまた、よく観察してみますと、トゲを発見!

これは果実を守るためのものだそうです。
植物って賢い…。作業の際についついチクっと痛い思いをしてしまうこともあるので、状況に応じてカットしておくのも手です。

摘果作業

勢いの良い枝には複数の果実を着けているものがあります。
収穫期まで育つこともありますが、果実が貧弱だったり不味かったりするので
一つの枝に一果を目安に摘果してやり、
特に下部の貧弱な枝は摘果して元気回復を図りましょう
摘果するものは、同じ枝になっている果実では
より小さなものをカット。

また、傷のあるものもカットしておきます。

背の低いところにある果実も、
負担を考えて、摘果してあげましょう。

摘果を終えて、全体的に軽くなりました♪

今年結実した枝は、来年は結実しません。
きっと疲労して、お休みをするのでしょう。
キンカンは上部な木でよく結実するのですが、
放任しておくと結果過多で下部の衰弱に繋がります。
そこで結果している枝と、していない枝 つまり
来年結実してほしい枝とのバランスを図っておく
必要があります。
単純に考えれば半々でよいわけですが、
貧弱な枝には花芽はつきませんから、
結実していない枝を多くしてやりましょう。
支柱を立てる
それでは、誘引作業を始めていきましょう。
まず、準備段階として支柱を立てます。

両端に1本ずつ、そして横に1本。
計3本立てました。

誘引作業の際に、裂けてしまうことがあるので、
枝股には麻紐などで補強をしておくと安心です。

これにて、誘引の準備作業は完了です

誘引作業
誘引は、勢いの強いものから順番に行います。
まず、向かって右の枝を下方に向けて誘引。

「樹液は太陽と風邪に引っ張り上げられる」と
説明されることがあります。
そうすると直立に近い枝ほど勢いが強くなります。
特に下部の垂れている枝は引き上げて誘引してやりましょう。
その後、他の枝も誘引していき、
下の写真のようにできあがりました

西先生のお庭には、扇仕立てコーナーがあるのですが、
今回の鉢もそちらの仲間入り。
じゃん!

黄色いマルがついているものが、今回作業した鉢です。
こうしてみると、扇仕立てのコンパクトさが
お庭のスペースをジャマしないことがわかりますね

これにて本日の作業はおしまい!
おつかれさまでした。


『 キンカンの扇仕立て 』に適した刃物


摘果鋏L
摘果作業にて使いました。
刃先までしっかりと切れる刃物です

摘果鋏L 300L

摘果鋏L 300L

★★★今日のひとこと★★★
西先生のお宅で、こんなかわいい鉢を見せていただきました!

「四季成り柑」というそう。
名前の通り、1年中を通して、
花が咲き実を着けて…と楽しませてくれます。
取材当日も、花が咲いていたり

実が色づき始めてたりするものがありました

さまざまな表情を見せてくれる、四季成り柑の魅力を感じました。
本日も最後までお読みくださりありがとうございました!
季節の変わり目、くれぐれもご自愛くださいね
社員1号


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