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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

モモの鉢仕立てとカイガラムシ
   

モモの鉢仕立てとカイガラムシ


冬の園芸作業の楽しみのひとつが剪定でしょう。
この枝にいくつの果実を着けるかを考えながら
樹形を整えるのは、この時期ならではの楽しみです。


今回はモモの剪定です。

露地栽培にしようかと思って、この容器に仮植え
していたのですが、すっかり手抜きをしていたため
大切な枝が枯れこみ不格好な姿になっています

そこで思い切ってコンパクトにし、鉢植えとして、
あわよくば果樹盆栽とすることに致しました!

● ● ● ● ● ● ● さあ、やってみよ~!● ● ● ● ● ● ● ● ●

果樹盆栽とするには、まずどのような樹形にするかが
第一の問題です
樹形としては、

直線的なものと曲線的なものに大別できます。

いわゆる直幹仕立てと模様木仕立てです。
2つの分かれ目は幹の立ち上がりの状態にあります。
この木の場合は立ち上がりが曲がっているので
模様木仕立てが自然になります。

樹形の中心となる幹作りですが、この木の場合は
左方に伸びだしている枝を幹とします。


幹作りの第一歩は幹の長さ(高さ)の決定です
幹の流れは立ち上がりの状態(曲がり)に乗って
伸び上がっていくことが大切で、間延びしたり
ましてや直線的な形になってはいけません。

図のように、湾曲した枝の外側から
枝を出すようにすると自然になります。

曲線的に幹を伸び上がらせるのは、
年輪を感じさせるところにあります。

しかし、直線的な伸び方をしている部分は
若木の雰囲気になってしまうのです。
この木の場合も直線的な部分があるので、
その部分はなくすことが必要です。

ところが切り戻しをしても、そこには枝がありません。
そこで新梢を発生させたい位置に切り込みを入れ
潜芽を発芽させました。
すると新梢が作られました。



本心を言えば、もう少し下で切除して芯を立てたいところです。
しかしよく見ると、幹となる枝の先端に結果枝がついています。

これが果樹盆栽の楽しい悩みです。
樹形作りよりも開花結実を優先してしまうのですから。
次は樹形作りで最も神経を使う「一の枝」作りです。
この木の場合は右方に伸びだしている枝を一の枝とします。
枝の位置としてはよいのですが、
かなり間延びしているので切り戻すことにします。

枝作りの第二の作業は「二の枝」作りです。
二の枝には先ほど切り込みを入れ、
発生させた枝を使うことにします。
その他伸びきった枝は剪定していきます。

剪定完了です。

花芽がつきすぎて木の負担にならないように、
葉芽だけをのこすように花芽をいくつか摘芯してやります。


幹・一の枝・二の枝 の先端を結ぶと
不等辺三角形が生まれます。

これにて基本的な樹形の出来上がりです。

★★害虫知識タイム★★

枝にポツポツとついている白い丸いもの、
これはカイガラムシという害虫の痕跡です。
こうして美観を損なうだけでなく、
生育が悪くなる原因でもあります。

マシン油乳剤という薬剤で防除できます。
とっても小さな跡ですが、目をこらして
早期発見を心がけましょう。

それではこれにて作業終了です。
お疲れ様でした!

『 モモの鉢仕立て 』に適した刃物
今回の作業では、「VSシリーズ」の剪定鋏を使用しました。
アルス剪定鋏の長い歴史の、“最新技術”と“デザイン”を盛込んだ商品です。
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