秋の樹木の植え替えは、常緑樹は早めに、落葉樹は落葉してからの方が安全でしょう。
昨年植え付けたスダチですが、その後の事情で移植しなければならなくなりました。ミカン類は寒さを嫌いますから、気温のある時季が安全ですが、それにしてもまだ気温が高いので萎れが心配です。そこで、いきなり地植えではなく、手入れの行き届く鉢植えにすることにしました。
幸いなことに鉢にも研究が進み、写真のように鉢底にスリットのあるものが開発されています。鉢栽培で最も問題になるのは、根詰まりですが、このスリットのある鉢ですと、特定の根が伸びて、他の根の発達を抑制することが防げます。
というのも、根は呼吸作用のために酸素を必要としますが、光や乾燥を嫌います。そうした特性を利用して、こうした構造を編み出したらしいのです。こうすると、絶えず株元から新しい根が発生して、特定の根が鉢の周りや底にトグロをまくようになるのを防ぐことができるのです。
<さあ、やってみよー!>
1)用土作り
まずは、用土作りですが、新根の発生を促すことが必要です。そこで中粒の赤玉土に腐葉土を約20%混合して、通気性を図ることにしました。
ところが、有機物を多く含ませるとコガネムシの幼虫が住み着き、有機物だけでなく根まで食害する危険があります。その予防にはオルトランの粒剤を加えることにしました。さらに、土壌改良効果の高いシリカゲルの粉剤を混入することにしました。
また、用土が乾燥していると根から水分を奪うことが考えられますので、水を加えて用土を湿らせておくことも大切なことです。
2)若葉の摘み取り
スダチですが、移植前に若葉の摘み取りをします。傷みの早い若葉から全体が萎れるのを防ぐためです。
3)水に漬ける
掘り上げた後は、すぐに株を水に漬けてやります。掘り上げは萎れにつながるからです。
4)切り戻し
続いて、切り口をよく切れる鋏で切り戻しておきます。こうすることによって、切り口の癒合が良くなるからです。
出来れば根を水に漬けた状態で根を切り戻す「水切り」が理想的です。根から葉に水分が送られるのですが、水分が通るのは細い糸のような道で、その間に空気が入り込むのは望ましくないとされています。
さらに、水には発根促進効果のあるメネデールを入れておきます。スダチの掘り上げ以外の作業は直射日光や強い風の当たらないところで行うのが安全でしょう。
5)土入れ
スリット鉢の底に赤玉土の大粒を入れます。その後(1)で用意した用土を入れ、スダチを移したあと、さらに土を入れます。
土の表面が見えなくなる程度に腐葉土をかぶせます。
6)水やりし補完
植え付けが終わった状態で、もう一度発根を促進するためにメネデールを加えた水をたっぷり注いでやり株を落ち着かせましょう。
今回はスダチが小さいので、あまり株が動くことはないでしょうが、株が大きく風などで根まで動く可能性がある場合には、株を容器に固定しておくことも必要です。株が不安定な状態では、新根の発生が妨げられるからです。
株がしっかり根付くまでは強い直射日光が当たらない場所で管理します。特に若葉が付いている場合には、透明なビニール袋で株を包んでやることも一法でしょう。
活着の可否は7~10日後の状態が目安になります。
今回の作業で、“植物にとっていかに根が大切か”ということがよくわかりました。
根の切り戻しをする際には、よく切れる鋏が必要ですよ。
ミニチョキ
刃が大きく開き、太い枝も楽に切れます。ハ―ドクロ―ム仕上げ。
お花屋さんにも愛用いただいている商品です。
グリップカラーは全部で5種類(ホワイト、イエロー、ピンク、グリーン、バイオレット)。こちらはホワイトです。
ミニチョキデラックス ホワイト 130DX
高級剪定鋏 Vシリーズ
刃の開きが大きいから剪定がスム―ズにできます。
滑りがよく木のヤニがつきにくいハードクロームメッキを採用。磨耗やサビに強い、優れた耐久性を誇ります。また、グリップの開き角度が小さくても刃が大きく開くので、太い枝でも楽々カットします。
高級剪定鋏ブイセブン V-7
高級剪定鋏ブイエイト V-8
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120S-7 剪定鋏S型7インチ