自給自足の暮らし<畑さんインタビュー後半>
公開日:2017年3月30日
前回に引き続き、今回も畑さんのインタビューをお届けします。
第2回目のテーマは「自給自足」。サラリーマン時代から自給自足を始め、現在も家族5人分のお米と野菜を作られている畑さん。
著書『現役サラリーマンの自給自足大作戦〜菜園力で暮らしが変わる〜』は、日本だけでなく台湾でも発刊されています。「自給自足」って、美味しくって安全な野菜を食べるため・・・?いやいや、そこにはお話を聞くまでは知らなかった思いが込められていました。
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ーそもそも、どうして自給自足をされているのでしょう。
「自分のことは自分でする、というのは昔から言われてきたことで。皆さんも言われてきたことだと思いますけど、本を出したら元の場所に片付けなさいとか、そうですよね?」
ーはい。
「自分のことは自分でする。自給自足するというのは、植物でも、動物でも、生きものの基本だと思っています。全て自分の中で完結していることを一つ持っておくと、ぶれない。」
ーぶれない・・・。
「はい。だからサラリーマン時代には『畑さん、宝くじ当たったら自給自足なんか辞めるやろ?』なんて言われたけど、当たっていたとしても絶対に辞めていないと思います。」
「農業って正直なところがあって、自分が動いた分だけ、ちゃんと成るんですよね。不作だから米が取れなかった、っていうけど、ちゃんと農業している人に聞いたらわかります。
ちゃんと働いた分だけ儲かるようになっているのが、一次産業の素晴らしいところなので。
例えば、こないだ野菜が高騰したんだけど、日々自然と向き合い出来る限りの対策をしている人は、被害も他の人より少ないんですよ。例えば『長雨が来そうやな』と思ったら、畝筋を深く掘ってね、排水をよくして、という風なことをちゃんとしてるんです。」
「歴史上ではこれまで色々な飢饉があって、人間が死んでいるっていうんだけど、確かにあるところでは死んでるけど、あるところではちゃんと生き残ってもいる。何万年と農作業をやって、生き残っているわけですよ。
僕はそれは、″ぶれずにきっちりとやっている人”が生き残っていると思っています。
一次産業は、そこは明快なので。だから、自分自身がぶれないために、
自分の戒めとしても自分が食べるものは、自分で作るということをしています。」働いた分だけ、返ってくる一次産業。
うまくいかなかったときは、自分がぶれていたせいだと分かってしまうからこそきっちりと自給自足をして、ぶれない自分を保つんだという思いに、はっとしました。
ー自給自足をされる上で、意識していることはありますか。
「気候のことを常に意識しています。アメリカでは気象ビジネスがお金になっていますよね。先の気象が読めれば、お金になるんです。
例えば、干ばつが来ることが読めれば、そこからトウモロコシが高騰することを読んで・・・と、先物取引きで儲かるんですよね。
だから、実は経済って、何か偉い人が動かしていると思いきや、僕は自然が動かしていると思っていて。」
ー自然が、動かしている。
(・・・また、これもすごい。)
「自然を読めば、基本的に時代の流れがわかると思っています。『雲行きがあやしい』って言葉がありますよね。あれって天候の話だけではなくて、物事が悪い方へ向かいそうな時にも使っていて。
こういう言葉一つとっても、自然は、あらゆることに通じていると思うんです。だから、ガーデニング研究家だから自給自足をしているというわけではありません。世の中とか世相とかを含めて、自分が敏感にならないといけない中で、
でも、自分の頭だけでは判断しきれないこともある。だから、自然を味方につける。その自然を味方につける手段としても、真剣に自給自足をしています。」
ーなんと深い・・・・。
すみません、安全で美味しい野菜を食べたいからかなと思っていました。「よく言われるんですよ。美味しい野菜が食べたいんやろ、美味しい米が食べたいんやろ。とか。でもそうじゃないんですよ。それはね、スーパーで買ったトマトの方がうまいですよ。キャベツも柔らかいですよ。(笑)でも、そういうことでは、ないんですね。」
自給自足をする。その背景には、「ぶれない自分を持つため」「世の中の流れを把握するため」というお話を聞くまでは知らなかった理由がありました。
「自給自足」にこんな思いが込められていたなんて・・・インタビューの60分間は、驚きと発見だらけ。
さて、来月からはいよいよコンテンツが始動します!畑さんと一緒に、「果樹」と「野菜畑」についての栽培・作業方法をお伝えしていきますので、どうぞお楽しみに。