剪定ばさみの選び方
庭木や果樹の剪定に欠かせない「剪定ばさみ(せんていばさみ)」。
こちらの記事では剪定ばさみの上手な選び方やメンテナンス方法をご紹介します。
《目次》
1.剪定ばさみとは
剪定ばさみとは
剪定ばさみとは、庭木や果樹の剪定作業に用いるハサミのことを言います。元々はヨーロッパで果樹剪定用として開発されたものが明治期に日本に伝わり、徐々に今日の形になったようです。
いわゆる洋鋏や和鋏とは違い、半月型の 「切り刃」と三日月型の「受け刃」がついており、持ち手(=グリップ)を握り込むことで刃を交差させて枝を切る仕組みになっています。グリップの内側にはバネが入っており、開閉を助けます。
剪定鋏ばさみの選び方
|「手のひら大」の剪定ばさみを選ぶ
剪定ばさみを選ぶ上で重要なのは「剪定ばさみが手のサイズに合っているかどうか」。例え大きな剪定ばさみを使っても、自分の手に余る大きさだと握力を充分発揮できず太い枝を切ることはできません。
また反対に小さすぎても握りこむ際に指が邪魔になり、うまく切ることができません。自分の手のサイズ(=手のひら大)と大体同じかやや大きめくらいの剪定ばさみを選ぶようにしましょう。
📏手のサイズの測り方
靴のサイズと違い、自分の手のサイズを把握している人は少ないと思います。剪定ばさみを選ぶ際は、事前に手のひらのサイズ(=手長)を測っておくのがおすすめです。手長は「手首についている一番上の横のシワから中指の先までの長さ」を測るようにしましょう。
特にネット通販で剪定ばさみを購入する場合、実物を手に取ることができないので注意が必要です。ぜひ購入前に、剪定ばさみの「全長」と自分の手のサイズを照らし合わせてみてください。
アルスでは全長180㎜前後の剪定ばさみをSサイズ、全長200㎜前後をMサイズと設定しています。男性はMサイズ、女性はSサイズを選ぶ方が多い印象です。
※あくまで目安であり、扱いやすさを保証するものではありません。
✋アルス剪定ばさみのサイズ設定
アルスの剪定ばさみは下記のサイズ表記になっています。
剪定ばさみのサイズ | アルスのサイズ表記 |
---|---|
VSシリーズで比較!手のサイズに合ったハサミ
S(7インチ=180㎜)、M(8インチ=200㎜)、L(9インチ=227㎜)の3サイズで展開しているVSシリーズを実際に手のひらに乗せて、サイズ比較をしてみました。
まず手のサイズを測ります。
スタッフ(女性)の手のサイズは17㎝でした。日本人の手長サイズ平均は男性が約18.3㎝、女性が約16.9㎝だそうなので(※)、ほぼ平均的な手の大きさです。
※データ引用:河内まき子、2012:AIST日本人の手の寸法データより
続いてこちらはパッケージから出したVSシリーズ。左からVS-7Z(S/180㎜)、VS-8Z(M/200㎜)、VS-9Z(L/227㎜)です。これをそれぞれ手のひらに乗せてサイズ感をみていきます。
■Sサイズ(VS-7Z)
SサイズのVS-7Zはちょうど手のひら程の大きさ。このくらいのサイズ感が剪定ばさみとしてはベストでしょう。
■Mサイズ(VS-8Z)
続いてMサイズのVS-8Zを乗せてみました。こちらは手のひらをはみ出し、やや大きい印象です。握るときは少し頑張る必要がありそうです。
■Lサイズ(VS-9Z)
最後に一番大きいLサイズのVS-9Z。こちらは刃がまるまる手のひらからはみ出してしまいました。これでは大きすぎて、握っても力を入れることができません。
乗せた写真を横並びにしてみるとサイズの違いが顕著に。手のサイズが17㎝くらいの場合はSサイズの剪定ばさみがぴったりのようです。
剪定ばさみを選ぶ際は、ぜひ参考にしてみてください。
|「刃のタイプ」で選ぶ
「バイパス式」と「アンビル式」
アルスの剪定ばさみの刃は大きく分けて2種類あります。ひとつは「バイパス式」。半月型の切り刃に三日月型の受け刃の一般的な剪定ばさみです。もうひとつは受け側が刃ではなく台のようになっている「アンビル式」です。
■切り口がきれい! バイパス式剪定ばさみ
バイパス式の剪定ばさみは半月型の 「切り刃」と三日月型の「受け刃」で成り立っており、持ち手(=グリップ)を握り込んで刃を交差させ、枝を切る仕組みです。上下から挟むように切断するため、美しい切り口に仕上がります。また、枝の際切りができます。
■太めの枝もラクラク剪定! アンビル式剪定ばさみ
アンビル式剪定ばさみは受け側が台のような「アンビル」になっています(アンビルとは「金床(かなとこ)」という意味)。刃を交差させて対象を切断するバイパス式と違い、アンビル式剪定ばさみは刃を包丁のように台に向かって落とし、対象物を切断します。「切り刃」が包丁、「受け刃」がまな板のような役割を担っているのです。
アンビル式剪定ばさみの大きな特徴として、(バイパス式に比べて)切り刃が薄いため、太めの枝がカットできるということが挙げられます。
なぜ刃を薄く作れるかというと、上下の刃を交差させて対象物を切断するバイパス式は刃にある程度の厚みが必要なのに対し(※)、アンビル式は片刃のため刃に厚みが必要ないからです。
刃が薄ければ薄いほど、切断時に対象物と刃の間の摩擦抵抗が少なくなるため、アンビル式剪定ばさみは太めの枝を楽にカットすることができるのです。
※バイパス式剪定ばさみは、刃が薄いと上刃と下刃が交差する際に刃同士がぶつかってしまう可能性があるため、ある程度の厚みが求められます。
アルスのアンビル剪定ばさみ「VA-8Z」の切断目安は生木25㎜です!
▼アンビル式の剪定バサミはこちら(こちら以外のアルス剪定ばさみは全てバイパス式です)
VA-7Z |
VA-8Z |
133DX-W |
|「グリップの形状」で選ぶ
剪定ばさみのグリップ形状はどれも同じように見えますが、実は少しずつ異なります。例えば「剪定鋏プルーナー」は手に触れる部分に溝があって滑りにくくなっており、「VSシリーズ」「アンビル剪定鋏」は指挟み防止のため大きく段がついています。
🌀手や手首に負担がかかりにくい「回転式グリップ」
中でも特徴的なグリップは、「剪定鋏ブイエスロータリー」シリーズの回転式グリップ。日本ではあまり見かけない握り込むと回転するグリップです。手の動き、指の動きに連動してグリップが回転するため、手への負担が少なく長時間の作業でも疲れにくい仕様です。海外では果樹農家さんを中心に人気があります。
▼回転式ロータリーグリップの使用イメージ
▼回転式ロータリーグリップの剪定ばさみはサイズ違いで3品番あります
VS-7R |
VS-8R |
VS-9R |
|「替刃タイプ」を選ぶ
切り刃と受け刃で構成されている剪定ばさみは、包丁など片刃の刃物に比べて研ぎが難しく、自分で研ぐのは大変です。最近はなかなかハサミ研ぎを受け付けてくれるところもありません。そこでオススメなのが、替刃式剪定ばさみです。
替刃式剪定ばさみとは、刃を自分で交換できる剪定ばさみのこと。アルスの剪定ばさみの多くは交換用替刃が用意されており、万一大忙しな果樹剪定などの作業中に切れにくくなっても、すぐに自分で刃を交換することができます。
▼ゆるみ止め金具を採用した「アンビル式剪定鋏」は替刃もカンタン!
|初心者の方におすすめの剪定ばさみ・ミニチョキ
「そこまでハードには使わないけど、しっかりした剪定ばさみがほしい!」という方におすすめなのが、軽量・小型の剪定ばさみ「ミニチョキ」です。
ミニチョキは全長185㎜と女性や手の大きくない方にもよく馴染むサイズで、刃にはハードクロームメッキが施されておりヤニ・シブに強い本格仕様。グリップは打ち合いゴムつきで剪定時の衝撃を吸収する手にやさしい構造です。切断目安は生木15㎜まで。
また、「グリップの開き幅が大きすぎて握りにくい…」という方のため、グリップの開き幅調整が可能になっています。ドライバー1本で手のサイズや作業内容に合わせて使いやすくできるので、とても便利です。
カラー展開はホワイト、イエロー、ピンク、グリーン、バイオレットの5色。お好みのカラーの剪定ばさみで、楽しく作業ができますよ!
オフィシャルショップでご購入のお客様限定で、お名前や屋号を無料でお入れします。記念品やギフトにもぜひご利用ください!
🥜アルス剪定ばさみの豆知識
❔どうしてアルスの剪定ばさみは赤いグリップが多いの?
剪定ばさみを使用するのは基本的に「緑」が多い場所。特に忙しいプロの現場ではうっかり道具を落としてしまうこともあります。そんな時、緑の中で「赤」はとても目立って拾いやすいので、アルスの剪定ばさみのグリップは赤色を多く採用しています。
この赤色は「アルスレッド」というオリジナル。アルスのコーポレートカラーでもあります!
💡剪定ばさみの「バネ」の種類
アルスの剪定ばさみで使用されるバネは大きく分けて2種類。昔ながらのV字型バネとコイル型バネです。V字型のバネは跳ね返りがあるのに対し、コイル型は衝撃を吸収して握った感触が柔らかいのが特徴です。
近年は手への負担減が重視されコイル型バネが主流となっていますが、ベテランの造園屋さんはV字型バネの剪定ばさみの「パチン、パチン」という打ち合い音に愛着があり、「敢えてV字型バネの剪定ばさみを使う」という方もいらっしゃいます。
剪定ばさみで枝を切る音、とってもいい音なんです!
❔アルスの剪定ばさみはどこで製造しているの?
アルスの剪定ばさみは大阪堺と宮崎の自社工場で製造しています。
メンテナンスについて
|樹液(ヤニ・シブ)汚れを落とそう
剪定ばさみを使用していて「開きにくくなった」「切れ味が悪くなった」と感じるときは、樹液(ヤニ・シブ)汚れが原因かもしれません。そんな時は刃部を掃除してみましょう。
固まってしまったヤニ・シブ汚れは80℃くらいのお湯につけて使い古しの歯ブラシで落としたり、刃物クリーナーを使用するとしっかり落とすことができますよ。
▼詳しいお手入れ方法はこちらの記事でご紹介しています
|部品販売について
替刃交換の際など、気づかぬうちに剪定ばさみのネジやバネを落としてしまうことがあるかもしれません。アルスの剪定ばさみは、万一の紛失に備えて部品の販売を行っています。
▼剪定ばさみ本体の品番がお分かりの方はこちらからご購入いただけます
適合する部品がご不明な場合は部品一覧表より該当商品の部品表を確認していただけます。また「本体品番がわからない」「適合する部品が見当たらない」といった場合は「刃物の病院グリーンパパ(お客様サービス係)」がご相談を承ります。
|お問い合わせは「刃物の病院グリーンパパへ」
▶お問い合わせ先:刃物の病院「グリーンパパ」
【メール】お問い合わせフォームにて承っております(「修理およびメンテナンスに関するお問合せ」にチェックを入れて頂くとスムーズです)。なお、写真を添付したい場合は「info■ars-edge.co.jp(■→@)」宛てにメールをお送りください。
【お電話】 0120-833-202 (平日9:00~12:00 / 13:00~17:00 ※土日祝日および当社が定める休業日を除く)
アルスの剪定ばさみ一覧
※価格はアルスオンラインショップでの販売価格を表記しています(定価)。
|アルス剪定ばさみサイズ別一覧
●全長179㎜以下の剪定ばさみ
SE-30 |
●Sサイズ(全長180㎜~194㎜/7インチ)の剪定ばさみ
130DX |
130B |
133DX-W |
VS-7Z |
VS-7R |
VA-7Z |
120S-7 |
●Mサイズ(全長195㎜~226㎜/8インチ)の剪定ばさみ
VS-8Z |
VS-8R |
VA-8Z |
120S-8 |
120DX |
120B |
●Lサイズ(全長227㎜~/9インチ)の剪定ばさみ
VS-9Z |
VS-9R |
ご自分の手に合うものを探してみてくださいね!
|アルス剪定ばさみ 替刃式製品の一覧
▼ライトに使いたい方向けの替刃式剪定ばさみ
SE-30 |
133DX-W |
▼プロが使う本格仕様の替刃式剪定ばさみ
VS-7Z |
VS-8Z |
VS-9Z |
VS-7R |
VS-8R |
VS-9R |
VA-7Z |
VA-8Z |
|お問い合わせは「刃物の病院グリーンパパへ」
▶お問い合わせ先:刃物の病院「グリーンパパ」
【メール】お問い合わせフォームにて承っております(「修理およびメンテナンスに関するお問合せ」にチェックを入れて頂くとスムーズです)。なお、写真を添付したい場合は「info■ars-edge.co.jp(■→@)」宛てにメールをお送りください。
【お電話】 0120-833-202 (平日9:00~12:00 / 13:00~17:00 ※土日祝日および当社が定める休業日を除く)
📢 公式SNSで最新情報を発信中!
◎ガーデニングにおススメ|Gクラシックシリーズ
上品な深いグリーンの持ち手で統一された、ガーデニング向け《Gクラシック》シリーズ。ご家庭での園芸作業に便利な刃物が揃っています。お求めは全国のホームセンター・金物店・園芸用品店や各インターネットショップで。
▼アルス商品はこちらからもお求めいただけます
\ はたさんとアルスケのチョキチョキライフ /
大阪堺の刃物メーカー・アルスコーポレーションのマスコット、赤いワニの「アルスケ」と、ガーデニング研究家のはたさん(畑明宏さん)がお届けする『はたさんとアルスケのチョキチョキライフ』。2020年はとある住宅街のマンションに暮らす「花坂さん一家」がアルスケとはたさんとの出会いをきっかけに、ベランダで“キッチンガーデン”に取り組む様子を描きます。