根は枯死するまで伸び続けます。
ですから、限られた生育環境の容器(鉢)では、根詰まりを生じて、生育不良となったり、さらには衰弱枯死を引き起こします。それを防止するには、植え替えが必要です。
植え替えに際しては、根を傷めない状態で植え付ける場合と、根を切り戻して植える場合とがあります。
前者は少しでも植物を傷めないようにして、生育を順調に行わせることが目的の場合に行われます。
後者は盆栽のように、植物の生長を図りながら、容器の大きさを制限したい場合です。
ところが事情によって、通常の植え替えが出来ない場合も起こります。そうした場合での、根の保護を行いつつ、時間と手間を節約する方法をご紹介いたしましょう。
梅や菊のように、地面に育っているもの(地生植物)は、赤玉土など自然に近い性質の用土に植わっています。
こうした植物の根は、容器の中では、先ず下に伸びて容器の底にぶつかると、仕方なく横へ広がるのですが、その結果、写真(1)のように、容器の内側に根が混み合い、水や空気あるいは肥料などが充分に得られない状態になっています。
そこで一回り大きな容器に移すか、思い切って根を切り戻して植え替えるのですが、それが出来ない場合は、写真(2)のように、良く切れる鋏で、混み合った根を鉢の大きさにより3~5ヶ所(深さ1cm程度)切断しておきます。
そして、手で払い落とせる根(切断された根)は落として容器に戻してやってください。こうすると隙間が生じ、新しい根が伸びる余地が生まれます。
次は、カトレアやバンダなどのように、木や岩などにくっついて育っている(着生)植物の場合です。
この場合には、根は空中で元気に生育できますから、容器の中に用土を入れて植えなくても生存が可能です。
そうしたことから、普通の栽培でも通気性の良いバークや水苔などで植えられています。それでも栽培していると根は写真(3)のように鉢や用土の上に伸び出してきます。
こうした根(気根)をもった植物の場合には通気性の良い素焼きの鉢や木製の容器などに、写真(4)のように根を傷めないように鉢ごと入れてやります。
こうすると用土がなくても、新しい容器に根はくっついて正常な育成が続けられますし、株の安定も良く、冬には防寒にも役立ちます。この方法は地生植物の場合にもかなり効果が期待できます。
しかし、これらは言わば「手抜き」で、緊急避難のような措置ですから、出来るだけ根が快適な通常の植え替えをしてあげてください。