「白加賀(しらかが)」という梅を植えています。花はよく咲くのですが、あまり結実しません。一株だけ植えていても、近隣に異品種が植えられていると、昆虫が花粉を運んでくれてよく結実することがあるのですけれど。
そうした甘い考えではいけないことが分かったので、受粉樹として定評のある「花香実(はなかみ)」と、「小梅」というラベルのついている苗木を買ってきました。「花香実」だけでも受粉樹としては大丈夫だと思うのですが、『多くの品種を植えておくほど結実率は高くなるのでは…』という思いから「小梅」も植え付けることにしたのです。それに、小梅ということだから、きっと花粉の多い品種であろうと思ったのです。
庭に余裕があれば、「白加賀」の近くに植え付けたいのですが、やむなく鉢植えとし、それも二つの株を一つの鉢に植え付けることにし、さらに少し工夫をしてみることにしました。
<さあ、やってみよー!>
1)2つの株を交叉させるように鉢に植え付ける
2)交叉している部分を浅く削る
接ぎ木の手法です。接した部分が癒着するよう、削った面が合うように調整します。それぞれ3センチほどの長さに削りました。
3)削った部分を合わせ、接ぎ木テープでしっかりと固定する
4)枝先のしおれた部分は摘み取っておく
葉がしおれているのは根にとって負担が大きいということです。根を保護するために、枝先のしおれた部分は摘み取っておきます。
5)株元に灌水し、軒下に置いておく
接ぎ木部分に水がかからないようにします。
問題は、たくさん伸びている新芽の処理です。苗木の植付は、芽の伸びだす前の早春が適期とされ、30cmくらいのところで剪定しておくというのが一つの目安とされています。ところが手許の苗木は新芽が伸びだしてしまっています。
この芽の処理ですが、この苗を本格的に育てるのであれば、不要な芽(特に上部の芽)は摘み取っておくべきでしょう。
しかし今回は、この芽をそのままにしておきます。そうすると、「捕らぬ狸の皮算用」ですが、この株は多い芽に養分を送りきれなくて、それぞれの芽は伸びきれず息切れして、夏には伸長を停止し、短い枝として冬を迎えるであろう、という算段です。いわゆる短果枝として、夏には花芽をつけてくれるのでは、という期待からです。
この二つの株には厳しいようですが、なんとしても来春には「白加賀」に花粉を用意してやりたいものですから樹形作りではなく、花粉作りを最優先させました。
それに、接ぎ木の手法を用いたのは、一つの危険分散も意識してのことです。もし一方の根が傷んだとしても、もう一方が問題なければ2品種とも助かることになります。
また、鉢数を1つに減らすことで管理もしやすくなります。二つの株が順調に接合して一体化してくれるかどうかを観察するのも、今年の楽しみの一つになりそうです。
たくさんの花が咲くことを願って観察を続けて行きたいと思います。接ぎ木には切れ味のいいナイフが欠かせません。
フローリストナイフ
「フロ―ナ」は生花、フラワ―アレンジメント用のナイフです。
フローリストナイフ フローナ直刃 FN-6T-R-BP
フローリストナイフ フローナ曲刃 FN-6M-R-BP