「巨峰」に代表される巨大果実のブドウは、露地栽培すると裂果しやすいのが問題で、雨による過湿と果実自体が雨にぬれないように管理しているのですが、今年も「藤稔」の一部の果実に破裂が生じています。その対策として、裂果に強い品種の寄接ぎをしておくことにしました。
寄接ぎの適期は7月中下旬とされていますが、幸い今年は天候異常のせいか生育が遅れています。それに、見た目に旺盛な生育をしているので、接いでみることにしました。台木となる「藤稔」は元気な新梢が多いので、複数の寄接ぎをしておくことにします。
台木と穂木の状態としては、ほぼ同じか穂木の方が太いくらいが良いとされています。ところが、最初に行うのは「カベルネ ソービニヨン」を穂木とするものです。
この品種はフランスのボルドー地方の赤ワイン作りの代表選手で、世界的に栽培されているそうです。ただし、収穫期が9月下旬から10月にかけてと晩生なので、寒冷地には不向きなのと、病害虫の被害も心配です。そこで、容器栽培をして軒下で育てているのですが、そうしたこともあり、台木となる庭植えの「藤稔」に比べると、新梢の細いのが気になります。
ですから、台木と穂木の形成層を密着させるということを考えますと、台木の一方に寄せて接がなければなりません。そうした点では成功率は低くなりますが、予備の接木をしておくことにします。
<さあ、やってみよー!>
1)台木と穂木の接ぐ(芽の)位置を決める
新梢でも生長作用の旺盛なのは節のあたり、特に芽のある部分です。そこで、接ぐのは写真のように芽の向かい合っている位置とします。
2)接ぐ(芽の)位置が決まったら4~5cm削ぐ
[藤稔側]
[カベルネ ソービニヨン側]
このとき、深く削ぐと傷むように思われて、浅く切り込みたくなりますが、ズイに達するまでしっかりと切り込みます。
3)接木テープで固定する
切り込みを終えたら、すぐに台木と穂木の傷口を合わせて、雨水などが流れ込まないように接木テープなどで固定します。今回は台木と穂木の太さが違うので、台木の切り口の片方に寄せて形成層が密着するようにします。
4)養分が不要な箇所をビニール紐でしばる
最後に、接木した部分で養分が流れにくくするように、台木では接木部の上を、穂木では接木部の下をビニール紐などでしばっておきます。
こうすることによって、接木部の癒合に好結果がもたらされますし、接木が成功したときに簡単・安全に切り離すことができます。つまり、台木と穂木の切り離す位置をしばって、養分の流通を阻害し、接穂の充実を図り、切り口を少なくするのです。
接木は乾燥しないうちに素早く処理することがポイントです。ぜひチャレンジしてみてください。
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