モモなど落葉果樹の剪定は、
冬季(落葉時)の本格的なものと、
夏季の間引き的なものがあります。
モモは成長力が旺盛なので、
強い剪定をするとバランスを崩し、
徒長枝が多発して樹形が乱れたり、
成木の場合には落果を引き起こすことがあります。
そこで、冬季における剪定でも
切除する枝の量は3分の1以下に止めるように心がけます。
夏季の剪定では、花芽分化に悪影響を与えますし、
徒長を引き起すので控えめに行うことが大切です。
しかし、どうしても秋(黄葉・落葉)まで待っての剪定が難しい場合には、
9月中旬に行うと木の生長に悪影響を与える度合いが低いようです。
そこで今回は、写真のように容器栽培しているモモが徒長しているので、
特に妨げとなっている枝を間引く(縮伐する)ことにします。
縮伐する枝は、写真のような直立した徒長枝です。
今回は印のある2本を縮伐することにしました。
<さあ、やってみよー! その1:剪定>
枝の分岐点から切る(鋸)
切り落とすのは、枝の分岐点です。
鋸を使って切る場合、一方のみから切ると、
枝が切れ落ちるときに、樹皮をはがすことがあります。
そこで、あらかじめ反対側に軽く切りすじを入れておきます。
こうしておくと、
切り落ちるときに樹皮がはがれる心配がありません。
切り口を良く切れる刃物で切りなおす(ナイフ)
鋸で切ったままにしておくと癒合が順調に進みません。
ナイフなど、よく切れる刃物で、
切り口をきれいにしておきます。
切り口の保護のためトップジンMを切り口に塗る
こうした大きな枝の切除は、
冬季でなければ無理と思われますが、
不思議にこの時季(9月中旬)に行うと
木に強い影響がないらしいのです。
気温も下がるので、『10月になってから行っては』と思われますが、
なぜかこの時季でなければうまくいかないのだそうです。
一瞬ですが、木が居眠りをしているのかもしれません。
樹形だけの話であれば、冬季に剪定すればよいのですが、
冬季に本格的な樹形作りを行うと、
枝の切除量が多くなって、落果につながる可能性が高くなります。
さて、切除したい大枝がもう一つ残っているのですが、
これを切除すると木に対して影響が大きすぎるので切除は控えます。
その代わり、切除したい部分に環状剥皮をしておきます。
<さあ、やってみよー! その2:環状剥皮>
剥ぎ取る部分に鋏を入れて回し、樹皮を切断する
枝の太さの倍くらいの幅で
鋏を入れて回し、
樹皮・形成層を取り除くようにします。
モモは成長力が旺盛なので、
幅が狭いと癒着(治癒)してしまうからです。
樹皮を剥ぎ取る
先のとがった鋏でタテ方向に切り目を入れると、
剥ぎ取りやすくなります。
形成層が残っていないか確認する
ぬるぬるしたところは形成層になります。
指で触って確認し、形成層が残らないように取り除きます。
こうすると、木としてはこの枝は別所帯の枝として
態勢を整えて冬を迎えますから、
冬季に切除しても悪影響を及ぼさないで済むことでしょう。
ちなみに、樹形の小型化をしているのは、
もう少し小さな容器での栽培を考えているからです。
左:縮伐前 右:縮伐後
元気よく伸びだしていた徒長枝がなくなり、
すっきりとしました。
本格的な剪定は冬に行います。
『モモの「縮伐」』に適した刃物
今回は、鋸・ナイフ・鋏と
さまざまな刃物が登場しました。
道具を便利に使い分けて、
植物にも作業者にもやさしい園芸を楽しみましょう。
のこぎり:ニュー豪傑
大工用鋸ですが、
生木剪定にお使いいただいてもOKです。
細目の鋸なら、切りはじめもスムーズで、
切り口もきれいな仕上がりです。
ニュー豪傑21
ニュー豪傑24
ナイフ:フローナ レッド
ステンレス使用の刃部は錆びにくく、
たくさんのお花屋さんにもご使用いただいています。
フローナレッド直刃
フローナレッド曲刃
はさみ:アルスヌーボー
こちらもステンレス刃になります。
グリップカラーはおしゃれな3色。
刃先までしっかり切れますので園芸に最適です。
アルスヌーボー