リンゴ「アルプス乙女」の苗木を入手しました。
第一の目的は授粉樹として。
ご承知のように、リンゴは他品種の花粉でよく結実します。
特にアルプス乙女は授粉樹として定評のある品種です。
もう一つの目的は果樹盆栽に仕立てることです。
この品種の果実は小さいのですが、
放任しておいてもよく結実してくれます。
それに、鉢仕立てにするうえで、樹形とのバランスにおいても
小果でたくさん結実してくれるのはありがたいことです。
さて、『2株あるうちのどちらを選ぶか』ですが、
それぞれの株元を確認してみましょう。
写真左側の株は、立ち上がりが曲線になっているのがわかります。
写真右側の株は、立ち上がりが直線です。
盆栽では“曲線美”を大事にしますので、
今回は左側の鉢を選びます。
さて植付けですが、当分は盆栽候補生ですから、
根・幹・枝の基本作りに専念して小細工は行いません。
鉢
栽培的な配慮を優先して、
いわゆる幅と深さがほぼ等しい栽培鉢とします。
灌水など十分な手入れができる場合には、
通気排水の良い素焼き鉢が理想的です。
プラスチック鉢や化粧鉢などは、根には悪いのですが
水切れの心配が少なくなるのは好都合です。
今回は、写真のように鉢の下部に縦に隙間のある
スリット鉢を用いることにしました。
この鉢は根が徒長せず、たくさん発根するので、
盆栽仕立てで大切な「根張り」づくりに好都合です。
用土
保水性が良く、細根が発生しやすい赤玉土単用とします。
また、移植の際には、用土がついたまま根を切り戻しますが、
川砂などと違い鋏を傷めずに済みます。
苗木の処理
‘
古い用土を落とし、根張りを確認する
根張りを確認するときは、ピンセットで慎重に行います。
もっとも上部のしっかりとした根は、
写真のように、幹の右側から出ているのですが、
左側(反対側)からは根が出ていません。
これでは良い根張りにはならないので、
他の根張りを確認します。
少し下のほうに、両側からしっかりとした根が出ている位置がありました。
こちらを根張り位置に決めます。
根を切り戻す
根を3分の1程度に切り戻します。
太い根を切ったときにはトップジンM(傷口保護剤)を塗っておきます。
根張り位置で根をそろえる
先ほど決めた根張り位置で、根をそろえます。
もっとも上部で片側からのみ出ていた根は切ります。
植付け
「根張り」の下まで用土(赤玉土:中粒)を入れる
※今回の苗は根張りが良かったため、
故意に根を発生させる処理は不要でした。
思ったような根張りがないときは根を発生させる処理が必要です。
その場合は「根張り」にしたい位置の下の部分を針金などで縛ります。
間に用土(赤玉土:小粒)を入れる
ピートモス(長繊維タイプ)を敷く
ピートモス(長繊維タイプ)を敷くことで
保温効果と雑草が生えるのを防ぐ効果があります。
ラベルも忘れずに!
株が不安定だと新根の発生か妨げられますので、
苗木の処理
枝を落とす
上部より伸びだした枝は、
位置が高すぎるのですべて落とします。
枝に蓄積されている養分を使って、
下枝を伸ばさせる目的です。
なるべく低い位置から枝を出させたいため、
このような処理をします。
低い位置より伸びだしている枝はそのまま活かしたいので、
3分の1程度の長さに剪定します。
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