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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

ブドウの鉢栽培


三年前の冬に挿木をしておいたブドウ(品種:キャンベル アーリー)です。
果樹は病害虫対策で、接木をした株を育てます。
ブドウの場合もフィロキセラ(病気)という大敵があるので、
耐病性のある台木に接木をしています。

草本類と違って、果樹は結実するまでに年数が必要ですし、
やっと結実するようになってから病気、という事態を考えると、
良い苗木への投資を惜しむ気にはなれません。

ですが、この品種で挿木をしたのは、わが家では一株しかありません。
もしもの場合を考えて、枝を保存し、接木用の穂木の確保と大事をとった訳です。

複数の挿木をしておいたのですが、そのうちの一部に今春に蕾が着きました。

仔犬のような苗木に蕾がついているのを見ているうちに、『鉢植えで育ててみよう』という気になりました。
それも、あわよくば「ブドウ盆栽(?)」に仕立てられないだろうか、
と欲は限りがありません。



<さあ、やってみよー!!「ブドウ盆栽」の見通し>

挿木をした部分(直立している部分)と蕾を着けている枝は不合格です。
幹は下部が太く、上部になるほど細くなっているのが自然ですから。
ところが、下部から左の方へ伸び出している枝(蔓)は軟らかな曲線を描いています。

『これを幹として育てて行けば、冬季に剪定を済ませたときに、
どこか模様木の雰囲気が出るのでは・・・』
と密かに考えています。
たとえ、それが失敗であったとしても、
鉢物として育てる場合には整った樹形は気持ち良いものですし、
このまま育てるよりも、低くてコンパクトな樹形になることは間違いありません。

手順

まずは、ひと回り大きな鉢に植替えをします。

鉢底ネットを敷く
鉢底ネットを敷く
赤玉土 大粒を入れる
赤玉土 大粒を入れる
ブドウの苗木を入れる
ブドウの苗木を入れる
周りに赤玉土 小粒を入れる
周りに赤玉土 小粒を入れる
植替え完了(灌水を忘れずに!)

植替え完了(灌水を忘れずに!)

左へ伸びている枝を幹とするわけですから、他の部分は不要です。
ですから、分岐しているところから直立している部分を切除すれば良いわけです。
しかし、それは二つの理由で行いません。

~理由 その1~
今は樹液が旺盛に流れています。
今、切除すると切り口から多量の樹液が流れ出ることでしょう。
大切な養分を含んだ樹液を無駄にするわけにはいきません。

~理由 その2~
切り捨てるのではなく活用したいと思います。
生長が落ち着いた時、「取木」すれば新しい苗木が得られます。
そのために、今やっておきたい作業があります。
根は節のすぐ下あたりからよく発生します。
そこで節の2 cmくらい下のところに細い針金を巻き付けておきます。

節の2cmくらい下のところに細い針金を巻き付ける
節の2cmくらい下のところに細い針金を巻き付ける

こうすることで、生長するにつれて針金が食い込み、樹液の流れが妨げられます。
取木する際には、発根状態が非常に良くなるだけでなく、切り口も小さくなるので癒合が良好になります。
なお分岐部の上にも針金を巻いておきます。

分岐部の上にも針金を巻いておく
分岐部の上にも針金を巻いておく
これにて作業完了!

これにて作業完了!


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