▲徒長したスモモの枝
家庭での果樹栽培で一番の悩みは、
木の希望を叶えてやろうとすればするほど、徒長して大きくなりすぎることです。
それに、果樹は花木とは異なり、
開花するだけでなく結実してくれないと意味がありません。
そのためには、多くの果樹では2品種以上植える必要があり、
それが密植につながります。
もっとも授粉用の品種は鉢植えで小さく育てるのもー法ですが…。
それにしても、若木の生育旺盛なモモやスモモなどの徒長には悩まされます。
そこで今回は外科手術をして、徒長を抑制し、
“小型果樹作りの方法”を考えてみることにします。
環状剥皮
徒長している枝の樹皮の一部を剥ぎ取って、
樹液の流れを阻害し、枝葉と根の生育を抑制する方法です。
正常な生育をしている場合、
地上部(枝葉)と地下部(根)は相互に影響し合ってバランスを保っています。
ところが、環状剥皮をした場合、新梢から根へ向かって、
同化生成物や生長ホルモン(オーキシン)が届かなくなってしまいます。
それによって根の活動は低下し、
それがまた地上部の生育の低下につながるのです。
木にとっては嬉しくないことなのですが、
この処理によって好都合なことがあります。
それは花芽分化が促進されるということです。
花芽分化促進を目的とする場合には、梅雨明け前後に行いますが、
今回は徒長抑制が主目的です。
<さあ、やってみよー!>
環状剥皮にはいくつかの方法があります。
処理した部分から上の枝を除去する場合
処理した部分が治癒しないように、
幅広く(目安:枝の直径以上の幅)、樹皮だけでなく形成層も取り除きます。
1)ハサミをまわし入れる(枝の直径以上の幅で上下に2本)
2)ハサミをタテに入れる
3)樹皮をはがす
4)完成
徒長を抑制するために行う場合
樹皮を剥がす部分を短くして(3mm幅程度)、
年内に処理した部分が治癒するように行うものです。
こちらは、単に今年の徒長を抑制することのみを目的とするものです。
ですから、除去するのは樹皮だけで、形成層は傷つけないようにします。
この方法の場合も、厳密には二つの手法があります。
処理する部分の樹皮を全て除去する場合
徒長抑制効果は大きいのですが、
除去する部分が広すぎると、処理した部分からの枝が枯死する危険を伴います。
処理部の樹皮を一部残しておく場合
1~2割の樹皮を残しておく方法です。
これによって、処理した部分から上の枝と元の株は細いのですがつながっているので、 処理部から上の枝の枯死は防げます。
1)ナイフで切れ目を回し入れる(1~2割は切れ目を入れずに残す!)
2)樹皮をはがす(1~2割の樹皮をつなげておく!)
接木テープなどで傷口保護をしておきましょう。
処理後の生育は剥皮されなかった部分を通じて続けられます。 処理部の肥大も樹皮が残された部分を中心に行われますので、 その部分の保護には注意しましょう。
『徒長抑制手術 ~スモモの環状剥皮~』に適した刃物
クラフトチョキ
誘引のヒモや、ちょっとした小枝、環状剥皮にも使えるクラフトチョキ。 グリップカラーは全部で5種類。お好きな色をお選びください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
スモモの環状剥皮、試されてみてください。