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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

ユスラウメの挿木(秋挿し)
   

ユスラウメの挿木(秋挿し)



今春にユスラウメの取木をしました。
写真のように切り口に水苔をあてておきましたら根が出てくれました。


ねらいは二つでした。
一つはこれで小さな果樹盆栽の素材にしようというものでした。
もう一つは台木作りです。
まず、盆栽の素材としてですが、
盆栽として一番大切なのは「一の枝(一番下の枝)」です。
この状態が、その木の年輪を印象づけるからです。
実生や挿木からだと、一の枝を育てるのにとんでもない時間がかかります。
取木の魅力はここにあります。

もう一つは、この株が盆栽の素材として駄目であったとしても、
台木としてとても重宝なものだということです。
それは、モモの台木にすることです。

家庭で果樹が栽培されないことの大きな理由の一つは、
多くの果樹が大きく繁って景色作りをさまたげることでしょう。
その典型的な例がモモです。
たしかに「モモ・クリ三年」と言われるように、
実生してから開花結実までの期間は短いのですが、
枝葉の繁りはとても旺盛です。
しかも、その枝を邪魔だとして多くの枝を切り取ると、
開花しても結実してくれません。

モモが家庭果樹としてあまり人気がないのも、
そのあたりに原因があるのかもしれません。
ところが、モモをユスラウメの台木に接木すると、
あまり徒長しなくて、矮性な樹形になるというのです。
さて、この取木した部分の鉢上げですが、大切なのは養水分のバランスです。
これまで、取木した部分には根から必要な養水分が供給されていました、
しかし、今回株から切り放されますと、自活しなければなりません。
まず考えなければならないのは、蒸散作用による萎れを防ぐことです。
そのためには葉面積を少なくすることですから、枝葉を間引く必要があります。
ここで一つの知恵が浮かんできます。
間引く枝を「挿穂」とするのです。

さあ、さっそくやってみましょう


2芽ほどを残して枝を摘み取ります。

摘み取った枝を水につけておく
摘み取った枝はすぐに水につけます(30分以内)。

▼枝を摘み取ったあとのユスラウメ

穂木の調整

確保した枝を15cmくらいに整えます。

続いて、切り口をななめに切ります。
発根には発根ホルモンが作用するのですが、切り口の大きさが関係するからです。

切るときにはよく切れるナイフを使いましょう。
切り口がきれいなほど、傷口の治りも早く、発根も早まります。

葉は2枚ほどを残して摘み取ります。

▼鉢の準備

鉢は深鉢を使います。
赤玉土(小粒)を入れ、腰水をします。

▼穂木を挿す

穂木はななめに挿し、鉢の底に接しないようにしましょう。

ななめにすると発根ホルモンの作用が活発になります。
また、鉢の底にはいつも停滞した水が溜まっているので、
接してしまうと根を損傷させてしまいます。

鉢を包む

ポリ袋で挿木をした鉢を包んでおきましょう。
これで、萎れを防ぐだけでなく、防寒にも役立ちます。
今回は中央に竹棒を立て、ポリ袋をしばりました。


『ユスラウメの挿木(秋挿し)』に適した刃物

クラフトチョキ

ちょっとした小枝、ビニール紐、麻紐などにも使えるクラフトチョキ

グリップカラーをお選び頂けます。

ここまでお読みいただきありがとうございました。



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