果樹の鉢栽培は結実時期が早まるとか、味が濃厚になるなどの利点が知られています。その上に、樹形が美しく「果樹盆栽」と呼ばれるような仕立てができないか、挑戦することにしました。その第一号がグミです。
おととしの秋に鉢植えされていた株を剪定し、植え替えをしておきましたら写真のような姿になりました。
新しい小枝も少し増えて、樹形らしきものが感じられるようになっています。
良い樹形というのは、『適切な位置に小枝がたくさんある木』
といえるかもしれません。さて、この木の整姿ですが次の二点が問題です。
幹づくり
樹形の中心となるのは幹です。人の姿勢にたとえますと、背骨に相当するものでしょうか。この木の幹は曲線を描いて伸び上っていますので、「模様木」ということになりましょう。
問題は先端部で、異質なほど直線的で間延びしているのが気にかかります。
この直線的な部分に、しっかりした芽があれば、切り戻しをすることも考えられるのですが、その期待はかなえられないようです。
そこで、この木を裏側から眺めたとき、上から二番目の手前に伸びだしている枝を誘引し、幹の芯にすることで幹が曲線で統一できるのではないかと判断しました。一の枝づくり
枝づくりは、最も大切な一番下の「一の枝」から始めます。
残念ながら、この木の場合、太い棒状で小枝が少なく間延びしています。
枝の途中で芽傷処理をして、新しい枝を伸ばしたいところです。
とりあえずは、間延びした感じを消すために、先端から三番目の枝まで切り戻す予定です。ただし、その新枝も伸びている方向が望ましくないので、誘引して形を整えます。その際に、先端から一・二番目の小枝を誘引するのに利用することにしました。
● ● ● さあ、やってみよー! ● ● ● ● ● ●新しく幹の芯となる枝を誘引する
直線的に間延びした枝を剪定する
枯れ枝を除去する
剪定は、木の大掃除でもあります。枯れ枝を残しておくとまぎらわしく、その枝が生きていると勘違いして、生きている枝を切除してしまうことがあります。早い段階で取り除いておきます。
裏側から見てみる
● ● ● その他、ポイント ● ● ● ● ● ●
●一芽多く残して切除する
一度に所定の芽の上で切除せず、一芽ゆとりをもって切除します。
全体を切り終えてから改めて全体のバランスを確認し、仕上げの剪定を行います。ときとして、枝の誘引をする場合には、一芽多く残しておくと枝も曲げやすく、大切な芽を傷めずに作業できます。
本来切りたい位置はハサミを当てた位置ですが、新しく芯にしようと考えている枝を誘引するために残しています。
●木を四方八方から眺める
枝の出方は下方(一の枝)が長く、全体として不等辺三角形となるようにすると調和・変化(動き)が醸し出されます。このとき、回転台は重宝します。
●鉢替え
剪定時は植え替えのチャンスですが、二年間はこのまま育てます。
と言うのも、毎年植え替えると木が落ち着かないためです。
2年間はそのままにし、3年目の春か秋に植え替えをするようにします。
●挿木
剪定した枝はもったいないので、挿木をしておきました。
乾燥しないように水につける
挿し穂は乾燥しないように水につけておきます。
発根は節(芽)のすぐ下の部分からみられるので、節の下1cmくらいのところで切ります。
素焼きの栽培鉢に赤玉土(小粒)を入れます。
多くの場合、挿木はサツキ鉢のような浅い鉢を使いますが、気温が低く、乾燥時期の挿木では、保温と乾燥防止に深い鉢が効果的だと思われるからです。
挿すときにはピンセットを使います。
ピンセットの内側に挿し穂が収まるように持ち、ピンセットが先陣を切って土の中を進むようにすることで、枝先が傷まないようにするためです。
寒さをしのげる場所を選びます。
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