受精した果実は、葉の作った成分を蓄え肥大していきます。
細かく観察しますと、意外に朝が一番大きくて、夕方に計ると小さくなっていることがあります。きっと日中の高温乾燥により、樹体が果実から養水分を奪っているのでしょう。
このことから、果実の肥大には、日中の高温乾燥を防いでやることと、夕方には根に充分な水分を補給してやることが大切であることが判ります。
果実肥大には、必要な葉の量を確保してやることが大切で、もし不足すると、樹体を維持するために落果を起こします。
柿の場合には、「ジューン・ドロップ」といって、6月に結実したと思っていた果実が落ちてしまうことがあります。これは春に新枝が伸び出すのに貯蔵養分を消耗しているのに、曇天のために新枝同化作用が充分に行われず、結果として養分不足状態となり、落果することでバランスを保っているのです。
この対策としては、剪定や間引きなどによって、結果している枝に充分日光が当るようにしてやることが肝心です。また日照不足の場合には、株元に銀紙のような光を反射するものを敷いてやると、特に下枝の光線不足が補えます。
さらに積極的に落果を防ぎ果実肥大を計る方法として、環状剥皮という処置があります。これは結実している枝の基部を、写真のように刃物で環状にすべて剥ぎ取る方法です。
養分の流れとしては、根から吸収されたものは、幹や枝の中央部を通って枝葉に届けられ、枝葉で作られた同化養分は、いわゆる樹皮と呼ばれる部分を通って各部に配られます。
ですから、環状剥皮された枝は、根からの養水分は受取りますが、生成した養分は枝の中に留めることになり、果実は養分をたっぷり供給されることになります。
ただし、この方法は、枝を樹体から切り離すことになるので、翌年からの正常な生長は期待できません。従って、この方法を用いるのは、本来不要な枝の場合に適用するものですから、特殊な技法ということになります。
しかし、放任しておくと、非常に結果が悪いものなどには、こうした処置によって、結実が促進されることは事実ですし、よくいわれる「成り木問答」ではありませんが、木にショックを与えることになり、それがきっかけで安定した結果がみられることもあるでしょう。
なお、環状剥皮では、木質部を傷つけず、樹皮(特に形成層)だけをきれいに剥がすことが大切ですので、よく切れる刃物を用いてください。
剥皮手順(1)(2)剥皮手順(3)樹皮のみを剥がす
環状剥皮完成
摘果鋏
プロが認める摘果鋏のベストセラーです。細かな刃先と直刃で剥皮作業もスムーズにできます。
摘果鋏L 300L
園芸鋏ファミリー
刃の開き幅を2段階に調節可能。グリップカラーも5色あります。
軽量・小型生花園芸鋏 ファミリーデラックス ホワイト 140DX
アルスキューティー
カワイイ・軽い・オシャレにこだわりました。グリップは非塩ビ樹脂を使用し、分別廃棄が可能。
小型軽量鋏 アルスキューティー14 QT-14
ガーデニング鋏
菜園・果樹・園芸など、幅広い用途にお使いいただけます。
ガーデニング鋏 SE-45
- « ツツジ類の蕾保護
- お彼岸時季の園芸作業 »