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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

矮性モモの魅力
   

矮性モモの魅力


ボナンザ」というモモの品種を入手しました。
モモは樹の性質によって、
イ)普通性
ロ)矮性
ハ)枝垂れ性
ニ)ほうき性
に分類されています。

ボナンザ」は矮性の品種です。
矮性の品種は、芽が密集して節間が短く、
当然のことながら枝は余り伸びませんし、
樹高も大人の背丈くらいにしか伸びません。
枝が徒長せず、コンパクトな樹形は
鉢栽培にうってつけです
今回は収穫は二の次として、
盆栽風(果樹盆栽)な樹形作りを試みます。

さあやってみましょう!

幹作り

現在の曲がった状態を活かして
模様木仕立て(曲線的構成)とすることにします。

少し間延びしているのが気になりますが、
結実した時にはこのくらいでバランスが取れることでしょう。果樹は果実が大きいので、どうしても大型盆栽になります。

主枝作り

主枝は幹の曲がりの外側から伸ばすようにすると
自然な流れとなります。
枝作りは下方から作っていきます。
この株の場合は、「一の枝」となる主枝が
同じような一から左右に出ていますが、
このままではいわゆる「閂枝(カンヌキエダ)」ですから、
幹の「流れ」が淀んでしまいます。
そこで幹の内側から出ている枝を外すことにします。

次に二の枝作りです。

ここでは二の枝に、左の方に伸びている枝を充てることにします。

問題は元々この枝が幹であったのに、
この枝の途中から立ち上がった枝が強くなって、
幹と枝が入れ替わった感じになっていることです。
いっそこの感じを活かすことにします
というのは、上に向かって伸びている枝は、
年ごとに生長が旺盛になります。
そこでかつての幹を「ニの枝」とします。
これによって幹の流れ(模様)も作ることができました。

樹形によって主枝の状態(配置)は異なりますが、
模様木の場合は下方を一番長くし、
上方になるにつれ短くして、
幹を中心とした不等辺三角形となるようにすると、
無難な樹形に仕上がるものです
また伸ばしたい枝は切り戻し、
伸ばしたくない枝は放任(長く伸ばしておく)
しておくとよいようです。

枝の伸びている状態も生長に関係します。
伸ばしたい枝は上向きにし
伸ばしたくない枝は横あるいは下方に
誘引してやります。
花芽をつけている場合は、放任しておくと
開花・結実で枝が衰弱するので、
伸ばしたい枝は花芽を摘み取っておきます
新梢対策
主枝の配置はできましたが、
枝が長すぎることと、基部に小枝(亜主枝・結果枝)が
ないことが気になります。

対策として新梢を出させたい部分の少し上に
環状剥皮」などの処理を施します。
今回は、3つの処理を施しました。


一番右端の「一の枝」
この枝は地面に一番近く、弱いので
伸ばしたい芽の上に切り込みを入れました。

元々幹だった左端の「二の枝」
この枝は強いので環状剥皮の処理をします。

今回新たに幹となった枝には
針金でリンギングを施します。

①が切れ込み、②が環状剥皮、③がリンギングしています。
枝は切れば切るほど木としての勢いがなくなります。
むやみやたらに剪定してしまうと、
根との力のバランスが崩れて木が暴れることがあります。
さらには先々週が暖かったからか、
枝先にはたくさんの芽がついています

この芽を切り取ってしまうのは勿体ないですし、
果実を収穫してから枝の剪定を行うことにしました。
これにて作業は終了です!


『矮性モモの魅力』に適した刃物


フローリストナイフ フローナ直刃
小さく小回りがきくので、環状剥皮や切れ込みを入れるのに便利!
西先生も愛用のナイフです

フローリストナイフ フローナ直刃 FN-6T-R-BP

今日のひとこと
先生の家にマンサクの花が咲いていました。

まだまだ寒い日が続いてますが、
春の訪れはすぐそこかもしれませんね・・・?
新入社員2号でした。


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