果物店で目立っているブドウは、
「巨峰」「ピオーネ」「藤稔」など巨大果実の品種です。
こうした四倍体品種は、大きいだけでなく味覚としても素晴らしいのですが、
栽培には高度な技術が必要なので、初心者向きではありません。
現在果樹園で栽培されているブドウは
ヨーロッパブドウ(学名:Vitis vinifera L.)と
アメリカブドウ(学名:Vitis labruscane L.)に大別されますが、
露地栽培では「デラウェア」「キャンベル・アーリー」
「マスカット・ベリ・A」「ネオ・マスカット」など
お馴染みの品種はいずれもアメリカブドウです。
きっとわが国の環境に適しているのでしょう。
「ヨーロッパぶどう」は代表品種の
「マスカット・オブ・アレキサンドリア」が
ガラス室で栽培されているのが象徴的で、
多雨多湿な我が国では露地栽培が難しいのです。
面白いのは「甲州」という品種です。
これは12世紀に、山梨県の山中で偶然発見されたものだそう。
長くわが国ではブドウといえば「甲州」の名が浮かぶほど
有名なのですが、調べてみるとヨーロッパブドウの
血をひいているのだそうで、
ヨーロッパブドウの東洋系品種ということになっています。
その誕生について確証はないのですが、
中国あたりから何者か(鳥?)によって種子が運ばれたのではないか
という話が良く知られています。
前置きが長くなりましたが、最近ヤマブドウが注目されています。
大手の種苗会社の通信販売カタログにも
「ヤマブドウ」「西洋ヤマブドウ」「一才ヤマブドウ」などが
登場しています。
いずれも小粒な果実ですが、
わが国に自生していた植物ですから、
とても丈夫で育てやすく、
苗木を植えてから結果するまでの期間が短いのも魅力です。
さて、本日は、「一才ヤマブドウ」と「ヤマブドウ」の誘引と摘果を行います。
誘引の要領ですが、
*枝数が少ないもの・・・直立仕立て
*枝数が多いもの ・・・行灯(あんどん)仕立てとしましょう。
作業にあたって注意したいのは、“新梢は基部から折れ(離れ)やすい”ということ。
その点に注意しながら作業していきましょう!
さあやってみましょう!
本日作業を行うのは左の2つの鉢となります。
左が「一才ヤマブドウ」。真ん中が「ヤマブドウ」です。
ちなみに一番右は、1週間前に作業をした鉢植えブドウなのですが、
ぐんぐん伸びていてびっくり!
今日は、一才ヤマブドウを直立仕立てにした後に、
ヤマブドウを行灯(あんどん)仕立てにしていきます。
(1) 右側に支柱を立てる(一才ヤマブドウ)
一才ヤマブドウの鉢の右側に支柱を立てます。
(2) 右側を誘引する
誘引時に、ツルが太くなっても大丈夫なように
よりをひとつかけておきましょう。
ちょきん!
右側の誘引が終わりました!
(3) 同様に左側も作業する
支柱を左端に立て…..
誘引していきます。
(4) 篠竹を張る
これからツルが伸びたときのための
誘引の手助けとして、篠竹を張っておきます。
左側の誘引も終わりました!
(5) 摘果
ヤマブドウの負担を軽くするために、 摘果作業をしておきます。
摘果前はこのように実がなっています。
摘果は小さな実→傷の目立つ実の順に行っていきます。
小さな実….ちょきん!
傷のある実…ちょきん!
摘果作業を終えるとこんな感じ。
ずいぶん負担がかるくなりましたね。
(6)オルトランをまく
害虫対策としてオルトランを少しまいておきます。
※オルトランは収穫の1ヶ月前にはまかないようにしましょう。
(6) 肥料をまく
鉢の両側端に肥料をまいておきます。
元気よく育ってくれますように!
(7) ピートモスを敷く
最後に除草のためにピートモスを敷けば、
一才ヤマブドウの作業は完了です。
このようにできあがりました!
つづいて、「ヤマブドウ」を行灯仕立てにしていきます。
(1)支柱を立てる
鉢の両側に支柱を2本立てます。
(2)円形ワイヤーをかける、支柱に止める。
支柱の外側に、円形のワイヤーをかけていきます。
支柱に麻紐で結び、固定しましょう。
******円形ワイヤーについて********
こちら西先生作の円形ワイヤーなのですが、
とっても便利!
穴の中にワイヤーを片方通すことで
サイズ調節も可能です!
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(3)誘引する
固定した円形ワイヤーに、枝を誘引していきます。
あとは、「一才ヤマブドウ」のときと同じように
オルトラン→肥料→ピートモスを敷いて作業完了です。
※「ヤマブドウ」は「一才ヤマブドウ」に比べ、
実が多く付いていなかったため摘果作業は行いませんでした。
これにて全ての作業が終了です。
最初と同じレイアウトで写真を撮ってみました!
すっきりきれいになりましたね。
『人気のヤマブドウ』に適した刃物
ロングクラフト直刃
ロングクラフト直刃 340H-T
西先生も愛用のはさみです
● ● 今日の一言 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
西先生のお庭にて、桔梗が咲きほころんでいました。
真ん中の蕾も、今にも開花しそうですね…
桔梗の英語名は「Balloon Flower(バルーンフラワー)」。
つぼみが風船のように膨らんでいる姿をみると、
ふむふむ…まさに風船のよう!と新たな発見をした1号でした。