春から夏にかけて開花する宿根草の株分け・植付け時季になりました。気温が 25℃を越える高温時期には休眠状態だったのが、冷涼な季節を迎え、根の活動が活発になる時期に先立って株分け・植付けをしてやると、株の衰弱を防いで順調に活着させ、元気に越冬させる事ができます。
今回は、代表的なプリムラで手順を追ってみましょう。
写真(左)は、今春開花したプリムラ「ジュリアン」を、涼しい軒下で夏越しした状態です。この品種はプリムラ・ポリアンサから生まれた園芸品種ですが、やはり夏の暑さは苦手なのです。
プリムラ類は丈夫なのですが、宿根性のものは、株分けをしてやるのが、元気に育てるポイントです。というのも、自生している環境は、絶えず土砂が堆積するような場所なので、それに埋められないように、茎や根を上に伸び上がらせておくことが必要なのです。
根についてみますと、開花後には、丈夫の茎から新しい根が出ますから、放っておくと、根は空中に浮き上がってしまいます。こうなると、養水分を吸収出来なくなるだけでなく、害虫に食害される危険もあります。もちろん、古い根は日毎に弱るので、株の衰弱枯死にもつながります。
要領は写真のように、日陰で古い用土を落して、根の状態を観察し整理します。茎の下部についている古い変色した根は切除し、白い元気そうな根を残します。
株が分かれている場合、よく充実しているものは1株ずつ株分けすることが出来ますが、貧弱なものは2~3株を一まとめにして植付けます。根は丈夫ですから、すぐには萎びませんが、乾燥させないようにしましょう。
用土は、赤玉土をベースにピートモスを混合したような、通常の草花用のものでは、鉢は4号以上の大きなものの方が防寒にもなり、管理が楽です。株が多い場合には寄せ植えを楽しむのも一興でしょう。用土に有機物が豊富で害虫が心配な場合には、粒状のオルトランを用土に混合しておくと安心です。
植え付けでは、株の葉の基部が用土に埋まるように植えることが肝心です。来年の育成には、現在の根の上から伸び出す新根活動にかかっており、その新根は現在の葉の基部辺りから伸び出すのですから。
用土を入れ終わったら表面に粗いピートモスなどを敷いておくと、水遣りで用土が飛び散ることもなく、保温・観賞にも役立ちます。
最後にラベルですが、大き目のものを用意し、品種名だけでなく、作業メモなども記入しておくと、これからの参考になり、楽しみが深まります。水遣りは、水を張ったバケツなどに鉢を静かに沈めて、用土にたっぷり吸水させます。
順調に開花させるには、春までに低温にあわせることがポイントですから、厳寒期までは霜や寒風の当らない軒下のような所で、寒さにあわせてから室内に搬入しましょう。室内でも日光不足・高温な場所は徒長衰弱し、花形や花色も悪くなるので、日当たりのよい窓際などが適しています。
フローリストナイフ
「フロ―ナ」は生花、フラワ―アレンジメント用のナイフです。
フローリストナイフ フローナ直刃 FN-6T-R-BP
フローリストナイフ フローナ曲刃 FN-6M-R-BP
- « お彼岸時季の園芸作業
- 球根の植付け »