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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

鉢植え果樹苗木の入手・植付け

春と秋は苗木の植付け時期なので、園芸店には沢山の種類の苗木が揃えられています。
苗木といっても、落葉樹と常緑樹では発芽(発根)時期に違いがあり、

落葉樹は2~3月、常緑樹は3~4月が目安となっていました。
しかし、最近はポット栽培が普及していますので、いわゆる「植傷み」の心配がなくなり、

酷暑酷寒の時期以外では、何時でも植付けられるようになりました。

早速園芸店に行って果樹苗木を入手することにいたしましょう!

苗木の入手に際しては、次の点に注意が必要です。

(1)品種の確認

ミカンとかカキといった種類名だけでなく、

ミカンでは「宮川早生」とか、カキであれば「富有」といったように、

品種名がはっきりと記されているものを選びます。

品種により収穫時期が異なるだけでなく、

生育特性にも個性があるので、栽培管理計画には欠かせない情報です。

(2)病害虫の有無

最近は品質管理が確立されてはいますが、

カイガラムシが寄生していないか、葉に異常はないかなど、確認を。

我が家に新しい病害虫を持ち帰らないようご注意くださいね。

(3)ポットの状態

苗木は一年以上ポットで栽培されていることが多いのですが、

時として栽培期間が短く、根がしっかりと用土を掴んでいないものに出会うことがあります。

こうしたものは、ポットから抜き取った時に、

根と用土がバラバラになる危険性があります。

(たいへん・・・!)

こうした状態は、植付けの適期(落葉樹であれば早春や落葉した秋)ならば

あまり心配はありませんが、高温時期などの場合がは心配です。

用土の状態を確認してくださいね。

(4)樹形

苗木の充実度は、幹の太い/細いが第一の目安になります。

幹は貯蔵養分の最大貯蔵庫ですから。

そして丈夫な枝が多く出ているものは徒長ではなく、

健康的に元気に育ったことを示しています。

また、今回は鉢栽培用の果樹苗木を入手したいのですが、

その場合は上記に加えて、下記の3点も注意してください。

(1)品種名の確認

多くの果樹は自家不受精なので、二品種以上育てることになります。

そうした際に、品種間で生育特性に大きな差異があると、栽培管理が大変です。

特に開花期に大きな開きがあると、結果不良を引き起こし、

「人工授粉」などやっかいな作業が必要になってしまいます・・・!

一例を挙げますと、今春の北摂の我が家でのスモモの開花状態ですが、

露地栽培の「貴陽」は3月22日、「コチェコ」「大石早生」「太陽」は23日、「サンタローザ」「ハニーローザ」は29日が初日でした。

また、容器栽培の「ハニーローザ」「ソルダム」「コチェコ」は23日でした。

品種によって開花のタイミングが異なるため、

気を配っておくと良さそうです。

(2)下枝の位置

今回は鉢栽培の苗木選びですから、

コンパクトに仕立てられる素材を選ぶことが肝腎です。

そうしたことから、

露地栽培の場合よりも幹を短く切り戻し、下方から発芽させることになりますので、枝が出ている場合は、出来るだけ下方から元気な枝が多く出ているのが望ましい苗木となります。

「根張り」から「一の枝」までの状態を「立ち上がり」と言います。

鉢栽培では多くの場合「模様木」、つまり曲線的な樹形に育てることが好まれますが、そのためにはまず「立ち上がり」が曲線的であることが必要です。

もちろん「一の枝」を幹に仕立てて曲がりを作ることも出来ますが、本来の「立ち上がり」が好ましい曲がりをしていてくれれば好都合です。

露地栽培では、太くて直線的に元気よく伸びている苗木が好まれますから、「立ち上がり」曲線的なものは、つい後回しになっていることが多いものです。

ゴールデンウィークが過ぎて園芸店に行っても売れ残っている可能性の高いものの最右翼ではないでしょうか。

今回は上記の点に目を配りながら、

枇杷(茂木)と、柿(平核無)を購入しました。

取材日は、写真右の柿の植付けを行いました。

まず、庭に植える場合ですが、

下記の位置で剪定を行います。

(花小町)できこきこ・・・

そして、徒長を防ぐため2芽を残して、枝も剪定します。

ミニチョキでちょきん!

お庭に植える場合は、これでOKです。

また、鉢に植える場合は、もっとコンパクトに切り戻していきます。

こちらも、太い枝は花小町できこきこ・・・

切り口はフローリストナイフで美しくしておきましょう。

切り口には、病原菌に効くトップジンMを塗っておきました。

また、上の芽の成長が弱るのを防ぐため、

台木から出ている芽は切り落としておきます。

ちょきん!

さぁ、いよいよ植え付けです。

ポットから出すと、根がしっかりと土を掴んでいて

良い状態です。

コンパクトなサイズにしていくために、

根切りを行います。

表面の根も、かき落としていきます。

側面が終わったら、底の根も切っておきます。

とってもコンパクトになりました。

こんなに小さくして大丈夫・・・?と気にかかりますが、

根と幹のバランスはとっても大切。

幹や枝を切り戻した分だけ、

根っこもコンパクトにして、全体のバランスを保ちます。

いよいよ、新しい鉢に移し替えます。

今回は、風でぱたりと倒れないよう、浅めの鉢を選びました。

底には、赤玉を敷き、

その上に、赤玉とピートモスに加え

オルトラン(コガネムシの幼虫防止)と

マグァンプK(肥料)を混ぜた土を入れています。

また、曲線構成にしたいため、

斜めに植え付けました。

ちょうど一の枝がピンと直立していますね。

最後に上からピートモスをかぶせて、

本日の作業は終了です!

園芸店で買ってきたときは、あんなに大きかった柿が

作業を経て、こんなにコンパクトになりました!

今回の作業は、盛りだくさんでしたね。

最後までお読みいただいた皆さま、おつかれさまでした。

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剪定作業では、ミニチョキを使いました!

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★今日のひとこと★

久しぶりに園芸店に行きました!

果樹の苗木もたくさんありましたが、

春らしいお花もいっぱい・・・!

見ているだけで癒されてしまうから、

植物の力ってすごいなあ、と改めて思った取材日でした。


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