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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

菊を刈り込み草丈を調整しよう
   

菊を刈り込み草丈を調整しよう


菊の新芽


露地で越冬したキクの新芽が勢い良く伸び出しています。


そのまま放置しておいても、秋には開花してくれますが、草丈が伸び過ぎて倒れてしまいます。
観賞的には、倒れることは不都合な面もありますが、キクにとっては、春早く草丈を伸ばして周囲を圧倒し、生存空間を確保することは種族の保存につながる重大な問題なのです。
そうした自然な姿を楽しむ場合は別として、希望する草丈を確保する場合には、8月までに刈込みをして草丈を調整しておきましょう。
そして刈り取った枝(特に先端部)は挿木をして呼びの苗を作っておくと安心です。

菊の刈込み

栽培というのは「植物の希望を叶えてあげること」が肝心です。それには、先ず観察が必要です。この場合では、秋から露地で地面の上に置いてあったので、容器の底から根が伸び出しています。
これで潅水を忘れても枯死しなかったのです。
それに地上部を見ますと、秋に開花した茎の基部から、新芽が伸び出しています。つまり、上部の芽は花芽(蕾)となったのですが、基部は葉芽のまま越冬したことが分かります。
この芽も一つの新芽として育ててもよいのですが、勢いが弱いので、挿し穂として利用する場合は別として間引いておくのが草姿を整えるのに好都合でしょう。

さて刈込みの要領ですが、芽は葉の基部に潜んでいますから、新しく伸ばしたい位置の芽の上で切除します。この時、注意したいのは、切除した茎の中心部の状態です。
若い茎の場合は、中心部まで瑞々しい緑ですが、古くなると白くなっており、その部分から腐敗することがあります。
そこで、中心部が緑(若々しく傷口が直ぐに治癒する)の状態の所迄、切り戻しておくのが安全です。

地上部が少なくなったので、根に余力がありますから、この際が植え替えのチャンスでもあります。
大株のまま楽しみたい場合には、このまま一回り大きな鉢に植え付ければよいのですが、出来れば根と用土の更新を計るために、株をバラして新しい用土で植え替えてやりましょう。

刈り取った枝ですが、萎れないように、水につけておきましょう。
充分に吸水させた(30分が目安)ものを、7cm位の長さに調整して赤玉土などに挿します。
この時、挿し穂の切口が痛まないように、ピンセットを用いたり、挿す鉢を吸いに沈めておくのも一法でしょう。
特に鉢菊では、発根しにくいものがあるので、発根促進剤処理をする場合もあります。
液体のものでは、吸水させる水に溶かしておくことも考えられます。
挿木した鉢は、半日陰で乾燥させないようにすると、約1ヶ月で発根してきます。
鉢菊の場合では、5月上旬までに挿木をしておけば、3本立ての場合でも、充分な草丈を期待できるでしょう。


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