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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

ジューン・ドロップ
   

ジューン・ドロップ


梅雨の心配事は、病害虫の多発と、果樹では落果が大問題です。
暦からみますと、6月にあたるので、ジューンドロップとも呼ばれます。特にこの時期に旺盛な果実肥大をするカキを例に考えてみましょう。

落果の原因は、株自体が成長のバランスをとって落としている場合と、環境や病害虫が原因の場合に大別できます。
先ず、株自体についてみますと、春から伸びている新枝は、昨年までの貯蔵養分を消費して成長しています。見掛けは元気なようでも、株自体の体力からみますと、かなり衰弱している訳です。
しかし、新枝の葉が日光を受けて光合成することで体力は補える筈です。
ところが梅雨に入ると、日照不足のために体力不足となり、落果しなければ株自体の生死に関わる、ということから落果という現象が生じているのです。
対策としては、先ず病害虫の被害を予防することで、梅雨の晴れ間に薬剤散布をしておきます。

そして株の負担を軽くするために摘果をしてやります。
果樹の種類によって多少の違いはありますが、一つの果実を養うには、20枚くらいの葉が必要です。カキの場合には、15~20枚くらいの葉を必要とするそうです。


ジューン・ドロップ
写真の状態をご覧頂きますと、小さな果実が3個ついています。
これを全部残すと60枚の葉が必要ですし、果実の重みで枝が折れてしまいます。
それに、それだけの果実を養うことに疲れ果てて、来年にはとても結実させる力を残すことはできません。

ジューン・ドロップ
そこで、写真のように、一つの枝に先ず2個づつ果実を残し、結果が確実にできる時期に1個にするのが、大きくて良質の果実を得る方法です。
写真の状態では、4本の新枝のうち、2本に果実を2個づつ残し、残りの2本は全く果実を間引いて負担を無くし、来年の結果母枝としました。
結果している新枝には、葉は10~20枚着いていますが、果実を養うために必要な養分は他の結果していない枝からも補われます。
よく、カキは放っておくと隔年結果をすると言われますが、こうして充実した枝を確保することで、毎年の収穫が可能になる訳です。
剪定・摘果のポイントは、翌年に結果させる枝を確保するということでもあります。

ジューン・ドロップ
落果の大きな原因である日照不足を補う方法として、シルバーシートを株元に敷くというのがあります。
これは反射率のよいシートで地面から反射させることで、特に下枝の光合成を促進させることができます。
これによって衰弱しやすい下枝の充実が計れるだけでなく、泥の跳ね上がりなども防ぐことができて、小さな株の場合などでは、病害虫防除にも役立ちます。


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