5月から6月にかけてが、今年の枝の生長を決定づける時期です。
特に果樹の場合は、この時期の枝の生長情況が、花芽形成をするか否かの決め手となります。
柔らかい新枝は病害虫の攻撃目標となっています。
健康診断も兼ねて、新枝をよく観察し手入れを行いましょう。
◇芽摘み
新枝は昨年までの貯蔵養分を消費して伸長しています。
いわば預金を引き出しての生活です。ですから、養分の無駄遣いを防ぐために、不要な新芽は早めに間引いておきましょう。
また、写真はウメですが、放任しておくと徒長枝になるものの先端を摘んでやると、そのショックで伸びが停止し、夏の高温乾燥時期に花芽が形成されて、いわゆる短果枝となってくれる可能性があります。
◇間引き
新芽・新枝の間引きで心配なのは、蕾を着けているものを失ってしまうのでは、ということでしょう。
そこで蕾を確認してからの間引きが安心です。ミカン類を例に、間引いてみましょう。
写真のように、昨年の枝先から複数の新枝が伸び出しており、その先端に蕾を着けているものもあります。
肝心なのは蕾を着けた枝ですから、この枝の妨げになるような枝は間引いておきたいところです。ポイントは、蕾を着けた枝と葉が重ならないように間隔を持たせてやることです。
樹種によって葉の大きさが異なるのと、枝の損傷などを考慮して、予備枝を残しておくのも一法です。
次に間引く枝の順序ですが、貧弱なものは、残しても翌年の生育が悪いので、先ず間引きます。
次は直立している枝、あるいは真下に伸びているものです。
特に上に伸びている枝は養分を多く奪うので、周りの枝の生長の妨げになりますし、多くの場合、樹形を乱すので間引きましょう。
但し、親枝が衰弱している場合には、勢力回復に役立ちます。枝は、上に向かうと元気になり、垂れると衰弱につながるからです。
特に衰弱している枝の場合は、支柱を添えて枝を持ち上げるようにしてやるとよろしい。基本的には、樹液は上に向かって流れる性質があるからです。
ウメの木は徒長枝が立つのが特徴です。
ところが、徒長枝にはあまり花芽は着かないものです。それに、短くて果実を着けている枝の日当たりを妨げることにもなります。
そこで、混み合っている所、特に着果している枝の妨げになっている徒長枝は基部から切除しておきましょう。