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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

果樹の枝の手入れ

夏枝

高温乾燥の中で、生長が旺盛なウメ・モモなどの落葉果樹などでは枝葉の萎れを起こしているものがあり、
思わず潅水でもしてやりたくなりますが、この時期の過保護は禁物です。
一見厳しい夏の環境ですが、果樹はこれが引き金となって種族保存の本能が目覚め花芽分化をしており、
今が花芽分化の仕上げ時期に当っております。

うっかり潅水・施肥などを行うと、バランスを崩して花芽分化を妨げたり、
徒長を誘発することになります。
特別な衰弱がなければ自然に任せておきましょう。

特別な手入れはありませんが、出来れば行っておきたい作業に枝の誘引があります。

主要な枝を目的にあわせて配置するには、
誘引が必要ですが樹液が旺盛に流れている春から夏にかけては、
枝が軟らかく、もし傷つけても年内に癒合してくれます。
また、徒長している枝の場合には、枝を横あるいは下に曲げることによって、
伸びを止めることができますし、時期が早ければ徒長枝を結果枝にすることすらできるのです。
樹液は上に向かって(直立)しているものほど多く流れる性質があるので、
横から下に向かうにつれて徒長が抑えられるのです。
逆に衰弱しかかっている枝などでは、支柱などで上に押し上げるようにしてやると元気を回復してくれます。
写真のように果実が大きく、ミカンのように枝先につくものでは枝垂れしたり、
枝が折れたり裂けたりすることがありますので、ぜひ支柱をしてやりましょう。
果実の大きなものでは、その重みで枝が垂れて衰弱していることがありますが、
そうした場合にも枝を上に向けてやることで、勢いを回復させることが出来ます。

枝折れしたミカン

枝を触っていると、手が黒く汚れたりすることがあります。
そうした時には、スス病の被害が考えられますし、
アリが動いている場合にはアブラムシ(アリマキ)やカイガラムシが寄生しているかも知れません。

スス病

カイガラムシ

<スス病(ツバキ)・カイガラムシ>
剪定・誘引などの作業は単なる作業ではなく、健康診断のチャンスでもあります。

しっかり診てやりましょう。

葉の基部を観察すると、来春に開花する花芽ができているのを発見できるかも知れません。

また、木の部分ばかりでなく、少し離れて全体樹形を眺めてみるのも大切です。
結果の多い側に倒れていないか、枝の込み具合はどうか等を見極め、
枝の軟らかいこの時期に誘引をしておきましょう。

また、まれに新しい枝(夏枝)が伸び始めていることがあります。
こうした枝は無駄なものですし、
親枝の衰弱につながりますので摘み取っておきましょう。
枝数の多い場合には、生育調整剤(ボンザイなど)を散布するのもひとつの方法でしょう。
その副産物として花芽分化を促進する効果もあります。


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