先日、果樹の苗木を購入しました。
植物の生育パターンから考えると、春の植付けが理想的のように思えますが、秋の苗木には果実が着いているものが多く、好みの品種(果実)を確認して入手できるのが魅力です。
私事なのですがミカンが好きで、四季を通じてとまでは思いませんが、出来るだけ長い期間、それも家庭果樹として庭あるいはベランダで収穫したいというのが夢です。
これまでの実感では、秋の温州ミカンから春の甘夏ミカンまででしたが、先日、園芸店で出会ったのがこの苗木で、「スイートスプリング」という品種名が付けられていて、説明書に〔八朔×温州みかん〕と記されています。きっと八朔の長所と温州ミカンの長所を備えた性質を持っているのでしょうし、名前からは春に収穫する品種なのでしょうか。
かつては果樹の品種は、果樹園で栽培される品種が園芸店に並んでいましたが、最近は園芸熱の高まりからか、家庭用の果樹品種が出回り始めています。そうしたことからも園芸店巡りは楽しいものです。
さて栽培ですが、基本的にミカン類は寒さに弱く、しかもこの品種は、果実を着けたまま越冬しなければならないようですから、山間部のわが家で露地栽培するには防寒が大変なので、鉢植えで育てることにしました。
鉢植えにしておけば、寒期には温かい軒下で越冬させられるからです。
それに鉢植えの便利なことは、求めた苗木の特性、それも果実の味覚まで確認してから、本格的な露地栽培に入れることです。
疑い深いようですが、果樹栽培につい億劫になるのは、収穫までに年数が掛かり、しかも「結実した時に、思っていた果実が着かなかったとしたら・・・」という不信感のようなものが漂うこともあります。それに、果樹の多くのものでは、異品種の花粉が無いと結実しにくいという性質があります。
庭にゆとりが無い場合には、目的の品種は露地栽培しておき、授粉樹は鉢植えにしておくことで目的を達することができます。
もちろん、両品種とも鉢植えで栽培することも可能です。
鉢植えに取り掛かって、苗木の選定に失敗したことに気付きました。
それは、果実が4つも着いていることです。
幾つかあった苗木の中で、この株が最もよく茂っていましたし、果実も多かったことに惹かれたからです。厳粛な事実として、この木が元気だったから、この4つの果実を養っているのでしょう。
しかし、果実は木にとって子供のような存在で、「自分のための養分の確保より子供の為に、ということで今年を過ごしてきたのでは・・・」と思い当たった時に愕然としました。
そう思って改めて見ますと、果実を着けていないしっかりした枝は2本しかありません。今年結実している枝は衰弱しているので、来年の結実は期待できません。最大限の期待としても、今年結実していない2本の枝にしか結果は期待できないのです。
<結果していない枝たち>
どうやら、果実に魅せられて購入してしまったようです。
もしも来年以降の(長期的な)発想で選んでいたら、果実の少ない株を選んでいたでしょうに・・・
過ぎたことを思っても仕方がありません。この株を大事に育てることにしましょう。