家を探すには「冬の雨の日の夕方」と言う言葉があります。
景色が最も沈んでいる時なのでしょう。四季を通じて緑に恵まれているわが国ですが、それでも年末から早春にかけては彩りの乏しい時季です。
そうした時に、パッと開花してくれる花は貴重で、その一つがクリスマスローズでしょう。
<左:クリスマスローズ(オリエンタリス種) 右:クリスマスローズ(ニゲル種)花の色や形は、様々です。 >
ところがそうした人気につられて入手したのに、クリスマスに開花してくれない、という不満の声があります。
クリスマスローズの学名をみますと、属名がHelleborus(ヘレボルス)となっています。その中で、クリスマスに開花するのは、つい最近まで、わが国ではあまり普及していないH.niger(ニゲル)という種から育成された品種です。
これまで親しまれていたのはH.orientalis(オリエンタリス)という種の園芸品種で、これが同じ属の植物であったことから「クリスマスローズ」というイメージをつくったのでしょう。
しかし、この品種は、温度などの環境条件を整えてもクリスマス時期には開花せず、お正月を過ぎてからでないと開花してくれません。
念の為、英名を見ますと、ニゲル種は「クリスマスローズ」となっていますが、オリエンタリス種は「レンテンローズ」となっています。オリエンタリス種は他の種との交雑も容易なことから普及が進んだのでしょう。
特性からみますと、いずれも陽射しの弱い所でもよく開花してくれますし、丈夫なことからカバープランツとしては誠に重宝な植物です。
しかし、クリスマスに開花する本物(?)のクリスマスローズ(ニゲル種)の入手ができるようになり、クリスマスローズの新しいブームが起こっているようです。
栽培のポイントを整理しておきましょう。
繁殖は実生が基本ですが、育種の場合は別として園芸品種では株分けが行われます。
冬から春の開花ですから、株分け・植付けの適期は初秋が第一で、次は開花が終わった時となります。最近はポット苗で入手できるので、植付けの季節は随分広がりました。
ただし、入手する場合にはラベルで系統・品種名を確認しておきましょう。品種名をしっかり意識していることは、後々の楽しみにつながります。
<プランターが過湿状態で衰弱した根を株分けし、鉢へ植え替える>
丈夫な宿根草ですが、夏の強い日差しと乾燥への注意が必要なこと、容器栽培の場合には根詰まりに注意が必要です。写真の場合にも、プランターに植えっぱなしにしておいたために衰弱しているようです。
プランター栽培の場合には、潅水などの管理は楽なのですが、ややもすると過湿によって根を弱らせることが多いようです。というのも、植木鉢の場合では、鉢穴から直に余分な水は排除されるのですが、プランターの場合には、絶えず容器の底に水が溜まっています。
しかもその水は古い水であり、根から排泄したものが溜まっているので、いわば濡れたオムツの状態に置かれていると言ってもよいでしょう。
ですので、プランター栽培では、用土を早く乾燥させてやり、毎日潅水しなければならない状態を作っておくことが肝要です。そうしたことから、用土は容器から盛り上がるように入れる、と言われるのかも知れません。
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