落葉樹の本格剪定は、冬季の樹液があまり流れていない状態に行うのが一般的です。
春になって、枝先に養分が集まってから剪定をすると、養分の損失が大きくなりますので、少なくとも芽が動く前に済ませておきましょう。剪定は果実を着ける枝(花芽)の数の調整と共に、樹形を整える作業です。
樹形を整えるには、誘引という作業があります。誘引するには、樹液が流れている状態の枝の方が折れにくい、ということがあるので、冬季よりも春から夏にかけてが安全です。落葉期(冬季)の誘引では、枝が折れやすいので、無理をしないように注意しましょう。
さて、鉢物果樹の剪定ですが、庭に植えられたものよりも栄養面で悪条件に置かれますから、基本的には貧弱になっています。枝数も少なく、枝の優劣も目立ちますから、枝間のバランスに留意が必要です。
その結果、果実も貧弱で収穫数も少ないですが、利点もあります。
まず、花芽が着き易いということがあります。
写真は昨年の晩春に植付けた「ソルダム」というスモモです。植付けが遅れ、枝を整えないまま植えたので、樹形が乱れていますが、庭上の場合ですと、もう一回り徒長していたことでしょう。
次に、芽の状態を観察して見ましょう。先ず一番旺盛な枝ですが、途中の芽が大きく膨らんでいるのが判ります。どうやら、花芽になっているようです。昨年の生育を考えてみますと、どうやら初夏からの若芽が花芽になっているようです。
庭植えの場合でも、梅雨明けからの高温乾燥は、果実に厳しい環境であり、その影響で生育が悪くなり、花芽分化の引金になっています。
鉢植えの場合は、さらに悪条件がつきまといますから、庭植えの場合では、葉芽のまま終わるものが、花芽となる可能性が高くなるのでしょう。この木の場合には、若木ですから、庭に植えていたら、きっと徒長枝の乱立で、葉芽ばかりとなっていたことでしょう。
結果として、少なくとも1年早く収穫を楽しめることになりました。
剪定に先立って考えなければならないのは樹形ですが、今回は徹底的にこちらの都合を優先して、鉢の置き場所がベランダである為、壁に沿って茂るように平面的な樹形としました。
平面仕立て
まず、枠を用意し、これに枝を貼り付けてみました。扇状に仕立てるのが一般的でしょうが、今回は主枝となる枝に花芽があるので、樹形に問題はありますが、花芽を残して収穫を狙ってみます。
次に、枝と枝の間隔ですが、昨年と異なり、今年は木が鉢に馴染んでおり、極端な徒長枝の発生は無いでしょうから、残した枝から小枝が伸びるくらいと考え、小枝と小枝が重ならない程度の空間を確保しておきます。