果樹の鉢仕立てでは、養水分を確り供給し、確り樹形を作っておかないと、美味しい果実の収穫は期待できません。偶然ですが、昨春から鉢を地面に置いて一年を経過したところ非常に枝葉の繁りがよく、花芽も沢山着いてくれました。
ところが、鉢を移動しようとしたところ、写真のように、鉢穴から沢山の根が伸び出していて、根の処理が大変でした。そのままにしておくと、鉢穴を塞いでしまい株が傷んでしまうので、根を整理し枝も少なく整えることにしました。
しかし、この失敗がヒントとなって、一つの試みをしてみることにしました。
第一は潅水の節約です。
振返ってみますと、この鉢ではあまり頻繁に枝葉の萎れがなかったように思われます。きっと鉢穴から伸び出した根が、地面から養水分を吸収していたのでしょう。今年も地面に置いて根を鉢穴から出させてみることにします。
第二には株を大型化する試みです。多くの場合、根詰まりから樹形が貧弱になるのですが、この方法でかなり生育が旺盛になるのではと期待しています。
鉢栽培では、どうしても樹形が小さく、収穫量が少なくなってしまう訳で、少しでも大型化することが収穫量の増加につながるのでは…、などと考えています。
もう一つは、花芽のコントロールです。春から夏まではきっと旺盛な生育をすることでしょうが、夏に根を間引くことで、栄養成長が急激に悪化し、それが引金となって花芽分化が行われることにならないか、その処理の仕方も今年の楽しみの一つになりそうです。
また、ベランダなどでは、用土を入れた箱とか、大鉢の中に果樹を植えた鉢を入れることも試してみようと考えています。庭の雑草などもゴミとしないで、鉢土と混ぜておけば、いずれ発酵してくれ、有機物の多い良質の土づくりにもなります。
それにベランダ栽培では、夏の照り返しが問題なのですが、二重鉢の状態を作り出すことにより、夏の高温乾燥を和らげる効果もあるのではと期待されます。
なお、剪定時期ですが、庭植えの場合に比べますと鉢植えの場合は、根が低温に晒されていることから、春の樹液の流れは遅れるようで、芽のふくらみや根の伸び出しも遅いようなので、庭植えのものが終わってから行ってもよいようです。
鉢から抜いた状態
鉢穴から先の根を切り、用土をほぐす
植替え(用土入替・ピートモス・株の固定)
枝の剪定
剪定完了
二重鉢
家庭での栽培は、商品生産ではなく、家族が納得すればよい訳ですし、開花~結実~果実肥大の様子は、毎日の楽しみでもあります。庭植えの長所と鉢植えの長所をうまく活かして、楽に美味しい果実を収穫する方法を模索する一例となればと思います。