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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

枝のバランス
   

枝のバランス


枝のバランス
果樹の鉢栽培では、枝数によって根からの養分の供給に限界があるため、無駄なく枝を活用することが大切です。
特に樹形の基本となる主枝作りの段階では、優劣を生じさせないように心掛けることが大切です。
写真は、3月にご紹介したスモモの今月の状態です。


3月の状態は、3本の主枝が仕上がった状態に整えましたものでしたが、新芽が伸び出した状態で問題が起こりました。
一番太くて元気だった右の枝が徒長しそうだったので、先端部の芽を摘み、斜め上に伸びていた枝を横に倒しました。
左の枝(元気) 中央の枝(最も元気)
右の枝(元気がない)
その結果、写真のように、右の枝の勢いは抑制され、最も弱い枝だった中央の枝から、最も元気な新芽が伸び出しており、左の枝もそれに次いで元気になっています。
枝の角度が生長に影響を与え、中央の直立している枝が最も旺盛な生育を示し、左の斜めの枝がそれに次ぎ、横に倒された右の枝は生育が抑制されているのが分かります。更に下に曲げると衰弱が酷くなることでしょう。

作業にあたっては、枝を傷めないように注意します。特に枝分かれしている部分から裂けることに注意が必要です。そのためには、分岐している部分をしっかり補強してやることが必要になります。
今回の場合には、要所要所をしっかりしたネットに結わえてあるので、特に分岐部の補強はしませんでした。
ネットはこれからの枝の誘引にも便利です。今回は枝が細いので、簡単に曲げられましたが、太いものでは曲げにくいだけでなく、傷つける危険があります。
そうした場合には、曲げたい部分の下部(曲げる内側)にノコギリなどで切り込みを入れると、作業がスムーズに行えますし、枝の勢いを抑制することにもつながります。
なお、傷口が大きい場合には、トップジンなど傷口保護剤をつけておきましょう。
これからの管理ですが、3本の主枝の勢い(太さ)が似通ってきたら、目的とする状態に枝を整えます。今月から来月にかけては、新芽の発生が見られることでしょうが、あまり神経質にならず、放任しておくつもりです。
というのも、枝の中ほどから基部にかけて短い枝がたくさん出ていますが、これらは7月から花芽分化を始めると思われるからです。
花芽分化するには、枝が伸長を停止し、充実していることが前提となります。
根は旺盛な活動をしているので、もしも徒長している先端部の枝を切戻したり除去すると、そのショックで花芽分化をしようとしている枝の先端から、新芽が伸び出すことがあり、それで花芽分化が阻害されます。
若い木や肥料分に恵まれた木は勢いが強く、徒長枝をよく発生させますが、夏の間は「息抜き枝」として暴れさせてやりましょう。
なお、肥料(追肥)も梅雨以降は控え、葉の緑が薄くなる位にして期を落ち着かせるように心掛けます。
特に肥料分不足で葉が黄化しているような場合には、薄い液体肥料を与え、長期間影響が残らないようにします。


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