昨年に、「柚子」を台木として、「甘夏」の枝を先端部に呼び接ぎしました[写真1]。
しかし、接木した位置が高く、鉢植えにした場合には株もとがさびしいのが難点でした。ところが、春に下の方から柚子(台木)の新枝が発生してくれました。
さらに、梅雨明けから伸びだした枝の先端に花が咲き、右写真のように結実しました。
これがヒントになり、春に伸びだした枝の先端に「八朔」の緑枝接ぎをしてみることにしました。
枝の状態をみますと、先端から新しい枝を伸ばし始めています。きっと酷暑も和らぎ、株も元気を回復し、根の活動も活発になっているのでしょう。ミカン類は盛夏は根の活動が落ちるようですが、夏の終わりから秋にかけては根の活動は活発になる性質をもっているようです。
一つの株に複数の品種を接木するということは、果樹園では考えられないことかも知れませんが、家庭園芸では栽培場所が限られていますので、この方法で受粉樹も同居させられます。品質・収量の議論ではなく、我が家で開花から収穫まで、日々楽しめることが何よりです。
ちなみに、鉢栽培での果実は露地栽培よりも味が濃厚(美味)なんです。
<さあ、やってみよー!>
(1)葉を制限
穂木は7cmくらいに切り取り、蒸散を抑制するために葉を制限し、基部は楔(くさび)状に切っておく。
(2)切断
台木は穂木と同じくらいの太さのところで切断し、
(3)切り込みを入れる
中央に切り込みを入れます。
※こうすると、切り口の両方に形成層が現れることになります。穂木の方は楔(くさび)状に切ったことで、形成層が両側に半円形に現れているので、台木の形成層と接する確率は非常に高くなります。
(4)台木に差し込む
台木の切り込んだところを広げて、穂木の楔(くさび)状切断した部分を傷めないように注意しながら、台木の切り込み部(形成層)と密着するように差し込む。
※ポイントは、穂木と台木の形成層が密着することなので、太さが異なる場合は、片方の形成層に合わせるようにします。
(5)接木テープで固定
穂木が動いて癒合が妨げられないようにするために、接木テープで固定する。
※接木テープは固定だけでなく、雨露などが接木部に流れ込んで、癒合を妨げないことも役目ですから、しっかりと接木部の上部から巻いておきましょう。
(6)保護する
接木した部分から先にポリ袋をかぶせて密封状態とし、保護する。
※穂木が萎れると接木は成功しません。まだまだ高温乾燥が続いていますので、ポリ袋をかぶせて保護してやります。この際問題は、袋の中は湿度が高くなると同時に温度も高くなることです。癒合が確認できるまでは、家の東側の軒下など、あまり暑くないところで管理してやりましょう。