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西先生のプロの園芸作業 | アルスコーポレーション株式会社
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プロフィール

西 良祐(にし りょうすけ)

大阪府立園芸高等学校教諭、甲子園短期大学教授、常磐会学園大学教授を経て、(社)フラワーソサイエティー名誉会長を勤める。 その他NHKテレビ「趣味の園芸」講師や財団法人川西市緑化協会理事、社団法人日本家庭園芸普及協会技術顧問など。

庭の落ち葉はどうする?!落葉の片付け
   

庭の落ち葉はどうする?!落葉の片付け



落葉の季節になりました。
落葉は貴重な有機物ですから、ゴミにせず堆肥にしてみることにしました。庭の清掃とも兼ねて、穴を掘ってそこに落とし込むことにしたのです。きっと風も手伝ってくれるでしょう。
穴を掘ると、庭木や果樹の根の切断が心配になります。
しかし、今回掘る近くのモモは、今春に強剪定をしたために非常に栄養生長が盛んになり、一番旺盛な生育をした枝は2m50cmにも伸びました。そのために、せっかく開花したのに落果してしまったほどです。

生育の途中で写真のように環状切皮をして(6月の園芸作業『環状剥皮』より)、徒長を抑制しようとしたのですが、顕著な抑制は見られませんでした。どうやら肥料分が豊かだったこと、根がよく繁茂したことによるのでしょう。

今回穴を掘ってみたところ、写真のようにモモの根が見つかりましたので切断しておきます。根の切断は養分吸収の抑制につながりますし、老木の場合には若返りの引き金にもなるようです。

穴については、あまり深く掘ると発酵していない落葉を、通気の悪いところに埋めることになり、異常発酵をさせることになる危険性があります。落葉の発酵分解には、自然状態に近い状態を念頭におくことが必要です。

秋に落ちた葉は、新鮮な空気にさらされながら、雨や夜露あるいは地面からの水分供給を受けつつ、地表で微生物によって分解されていきます。そしてミミズなどによって分解されて肥えた土となります。

ところがいきなり深いところに埋められると、自然環境とは異なり嫌気性の微生物の増殖が起こり、紋羽病など根に寄生して、防除が困難な事態を引き起こすことがあります。従って、穴は浅くし、何ヵ所も開けておくことが無難です。

このモモの場合には、来年は徒長をさせず果実を多く収穫したいので、根の切断は徒長抑制につながり一石二鳥となるはずです。

栽培暦からみますと、一般的にはお礼肥の時期でもあります。

化成肥料など化学肥料を混ぜておくのもよいでしょう。落葉やゴミがいっぱいになったら、米糠などを混ぜてやると微生物の活動を促進しますし、肥料効果も高まります。

また乾燥状態にある場合には、灌水をして落葉などを湿らせておくことも順調に分解させることにつながります。その後、軽く土を被せて通気の良い状態を保っておきます。

モモの場合、根の本格的な活動は3月上旬からですから、埋めた落葉は完全に分解していないことでしょう。しかし、落葉など有機物を混入するのは、肥料効果よりも土の団粒化という土壌改良が大きな役割なので、分解が遅れても目的は達せられているのです。

さあ、やってみましょう


1) モモの木の根元落ち葉がいっぱいです。

落ち葉でいっぱいの木の根元

2) 穴を掘る

根元の穴を掘る様子

あまり深すぎず、20cmくらいの深さで掘ります

3) 出てきたモモの根を切断する

出てきたモモの根を切る様子

養分吸収の抑制と、老木の場合には若返りの効果もあり!
切り口にはトップジンを塗布しておきます。

4) 穴の中に落ち葉を落とし込む

穴の中に落ち葉を放り込む様子

5) 2箇所目の穴を掘り、同じように処理する 

落ち葉

6) 落ち葉を踏んで押し込む

落ち葉を踏んで押し込む

7) 上から土をかぶせる

落ち葉を埋めた穴に土をかぶせる様子

8) 作業完了!


落ち葉がとってもきれいに片付きました♪


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