南国生まれのデコポン(不知火)を、北摂で恐る恐る育てていますが、簡単な霜除けで元気に越冬しています。おまけに、市販のものほど立派ではありませんが毎年結実してくれますし、味もまずまずと思っています。きっと身贔屓(みびいき)なんでしょうが、よく熟してから収穫しているので、美味しいのではないでしょうか。まさに家庭での果樹栽培ならではの話かも知れません。
さて今年も収穫期が近づきましたが、最後の手入れをしておきましょう。御承知のように、ミカンといえば夏蜜柑や温州蜜柑を思い浮かべ、手入れも似た様なものと思いがちですが、デコポンはかなり特異な性質をもっているようです。特に、根が非常に敏感(弱い)なので、地上部の生育や土壌環境によって生長に大きな変化があり、発根の悪化や枯死につながりやすいそうです。
この木の場合、地上部の状態をみますと、摘果が不十分で結果過多となっています。こうした場合には、体内の養水分は果実に優先的に流れ、根には届きにくくなるそうです。そのため養水分吸収の主役である根の活動が鈍り、結果として樹体の衰弱となってしまう訳です。
対策としては摘果が手っとり早いのですが、今となっては手遅れですし、あと少しで収穫ですから、これは諦めることにします。
次の手段としては、根の活動を良好にする環境作りでしょう。幸い、デコポンの根は12月まで発根することが知られています。そこで、まず浮かぶのは地温を出来るだけ保ってやることです。続いて養水分の供給、そして日射しの確保でしょうか。
具体的には、まずは敷きワラです。これによって、根を冷気から保護できますし、乾燥防止、土壌固結の防止にもなります。根が順調に生育するには、新鮮な空気が不可欠で、理想的には土の粒子と隙間の割合は3:7くらいが望ましい、と言われるほどです。隙間には水が入りますから、空気:水:土の比率にしますと、4:3:3になります。
そうしたことから有機物を混入して隙間を多くしているのですが、敷きワラをすることによって土壌表面の固結を防ぐだけでなく、土壌をほぐして通気が良好になります。更に敷きワラは分解されて土壌の中に入り、隙間(気相)を多くしてくれます。
落葉樹と異なり、常緑樹は冬でも乾燥は禁物ですが、特にデコポンのように果実をつけて生育が続いているものでは、養水分の供給が必要です。ごく薄い液肥をあたえておきましょう。また、よく反射するシートなどを、敷きワラの上に張っておくことが保温と共に補光になり、同化作用の促進になることでしょう。
最後に、黄色く色づいた果実のみ鳥害対策として袋掛けをしておきました。
<さあ、やってみよー!>
1)敷きワラ
幹より少し離れた、根の広がっているところあたりに、敷きワラをします。今回も本レポートでおなじみの、長繊維のピートモスを使用しています。
2)養水分供給
液肥を加えた水をやります。水をやることで、敷きワラも落ち着きます。
3)敷きワラの上に新聞紙を敷く
新聞紙を敷くことで保温効果を高めるとともに、日光が反射して内側にも光が入りやすくなっています。
4)袋掛け
黄色く色づいた果実のみ、袋掛けをしました。
甘いデコポンの収穫の日を考えると、思わず顔がほころびます。寒さに負けず、元気に育ってほしいです。
採果鋏不知火用
曲刃で果実の枝の根元をキズつけずスムーズにカットします。「不知火(デコポン)」の収穫にぴったりの不知火用採果鋏です。
310-D-R 採果鋏不知火用
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