鉢(容器)栽培の果樹の果実は、どうしても乾燥気味に育つことから、味が濃厚(美味)なことで定評があります。それに、地面がなくても育てられるのですから魅力的です。しかし、その割に普及しないのは「植え替え」が大きな壁になっているのでしょう。
どのような植物でも、鉢植えを放任しておくと「根詰まり」を起こして生育が悪くなります。観賞植物の場合は、それが「矮化(わいか)」につながり、好都合という面もありますが、果樹の場合は、まず結実不良となるので大変です。そうしたことから、果樹栽培では「植え替え」は特に大切な作業です。
その「植え替え」ですが、小盆栽のように片手で持てるようであれば簡単ですが、果樹は樹体の成熟がなければ果実を養えませんから、片手で持ち運び出来るような鉢での栽培は考えられません。それに、木は年ごとに大きくなるのですから、それを思うとつい手を出しかねるのも当然です。
そこで、今回は“後期高齢者”入りをした私の“手抜き移植法”をご紹介いたします。
主な準備品は、以下です。
- 根詰まりした鉢植え果樹(今回は「アルプス乙女」)
- 根詰まりした鉢植えがゆったり入る大鉢
- プラスチックの波板 2枚(幅65cm、高さ30cm)
- 波板を固定するテープ(梱包用のテープなど)
- 用土
<さあ、やってみよー!>
1)波板で容器を作る
まず、波板2枚をそれぞれ半円にし、重ねて円になるようにします。根詰まりした鉢植えをゆったり包めるぐらいの大きさで、テープで固定し、容器とします。
2)大きな鉢の底に、ネットかビニールシートを敷く
こうすることによって、鉢穴から用土がこぼれないようにするのと、地面に置いたときなどに根が伸び出さないようにします。
3)波板で作った容器を大きな鉢に入れる
このとき大切なのは、波板と鉢との間に大きな隙間があることです。
4-1)根詰まりした果樹(アルプス乙女)を鉢から抜き取り、用土の周囲に密生している根を取り除く
古い鋏などを使って、周囲に密生している根を切っていきます。ちなみに、白く伸びているのは雑草の根です。
4-2)用土の周囲の土を落とし、切った根や雑草などを取り除きます。
5)波板で作った容器に果樹を入れる
波板で作った容器の底に粗い用土(赤玉土の大粒)を入れ、鉢から抜き取った果樹(アルプス乙女)を波板の中に入れます。
根鉢との隙間にピートモスや化学肥料を混ぜた用土を入れます。用土に肥料を混ぜていない場合には、用土の表面に肥料を置きます。
隙間にもしっかり用土が入るように、棒などでつついて用土を入れ込みます。
6)用土の表面を粗いピートモスでしっかりと覆う
これによって、灌水などでの用土の目詰まり・雑草の発生・乾燥などを防ぐことができます。
7)灌水する
最後にたっぷりと灌水をして、ピートモスを落ち着かせます。乾いた状態では風などで飛び散ったりするからです。
今回の“手抜き移植法”のポイントは、2枚の波板を用いたことです。
波板は簡単にゆるめることができますから、2~3年後に移植しなければならなくなったときには、ゆるめるだけで鉢土との間に隙間ができて、簡単に新しい用土を根に提供してやれます。
波板を外して大きな鉢に植え付けるのが最終状態ですが、それまでに2回くらいの植え替えの省力化が計れそうで、“後期高齢園芸家”としては助かります。
果樹が育つほど植え替えは大変な作業になります。この方法だと、楽に植え替えができますね。美味な果実の収穫を目指して、鉢植え果樹にチャレンジしませんか。
今回は、梱包用テープなどを切るのにオススメの鋏を紹介します。
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