ガーデニング準備|ベランダの特性を調べよう!(前半)~3つのポイント~
真っ赤なワニの“アルスケ”に連れられて、はたさんのお店を訪れた花坂ファミリー。ガーデニングに興味がありながらも様々な問題に悩む一家に、はたさんが勧めたのはベランダでできるキッチンガーデンでした。今回は【ベランダでキッチンガーデン】を始めるための、基礎の基礎をお伝えします。
▼前回の記事「【ベランダで始めよう!】見ると食べるが楽しめる? 噂の”キッチンガーデン”(前半)」
野菜・くだもの・エディブルフラワー(食べられるお花)・ハーブなどを彩りよく植えた、”見る”と“食べる”が楽しめるお庭のこと。この連載ではベランダで無理なくできるビギナー向けキッチンガーデンのアイディアをたくさん紹介していきます!
あなたのベランダ、調べましょう。
「さて、早速ベランダでキッチンガーデンを始める準備に取り掛かりましょう。まずやるべきなのは、 ベランダの特性を調べることです。」
「ベランダの特性って、なんですか?」
「植物を育てる上で把握しておきたいベランダの環境のことです。ベランダの特性を知ることで、ご自宅のベランダが植物にとって住みやすいかどうか、また、住みにくい場合はどのように対策すればいいか、わかります。」
「へえー。具体的には、何を調べれば…?」
「ポイントは3つ。①日当たり、②風通し、③生活や防災上の必須条件です。」
「さっそく、見ていきましょう。」
《目次》
1.日当たり
2.風通し
1.日当たり
◎どうして「日当たり」が重要?
「1つ目のポイントは、日あたり。植物にとって光がどれくらい当たるかは、とても重要です。」
「どうしてですか?」
「それはね、植物の成長に欠かせない栄養を作るために、光エネルギーが必要だからだよ。植物は葉っぱの表で光を浴びて、根っこから吸い上げた水と、葉っぱの裏から取り入れた空気(二酸化炭素)を使って、栄養を作るんだ。これを光合成と言います。」
「光合成、懐かしい! そっか、植物にとって光はごはんの素なんや」
「その通り。植物は、光が無ければ養分を作れず成長できないんです。だから、植物を育てるためにはベランダの日当たりを知っておく必要があるんですね。」
◎「日当たり」の調べ方
「日当たりを調べるには、ベランダが東西南北のどちら向きかを確認しましょう。」
「ベランダの向きによって日が当たる条件が異なります。下の図を見て下さい。」
■ベランダの向きと太陽の位置関係
「一年を通して、東向きのベランダ は一日の前半、南向きは太陽が昇ってから沈むまでずっと、西向きは一日の後半に日が当たることが分かります。北向きはほとんど当たりません。」
「それぞれの条件に合わせて鉢やプランターの配置を考えたり、育てるものを選ぶことで、ガーデニングを楽しめます。もし日当たりがよくなくても、ガッカリしないでくださいね。」
「ベランダの向きごとの対策は、のちほど詳しく説明します。」
2.風通し
◎「風通し」が大切な理由は?
「2つ目のポイントは、風通し。私たちも締め切った場所にいると息苦しく感じますよね。植物も同じで、新鮮な空気はとても大切なんです。」
「植物も、息が苦しくなるん?」
「そうだよ。植物は空気をつかって養分を作るし、息もするから、常に新鮮な空気が必要なんだ。」
「なるほど。風がないと空気が動かないから、風通しの良さが大切なのか」
「植物は空気が悪くても自力で移動できないもんなあ」
「そうなんです。また、風通しが悪いと夏はとても暑くなってしまうのも問題です。風のない炎天下、外にずっといると考えると… 」
「そ、それは恐ろしい…!」
「ベランダは特に、作りによって風が通りにくいことがあるので、適切に環境を把握する必要があります。」
◎「風通し」の調べ方
「ベランダの風通しは、手すり壁の種類や建物の何階かによって、違ってきますよ。」
手すり壁の種類
①格子状
風通し良好です。 格子の間から風が入ってくるので、風はあまり遮られません。植物にとっては良い環境です。ただし、台風などの強風時は気を付けましょう。
②コンクリート壁/強化ガラス
風通しはよくありません。 壁に遮られて風が通りにくく、植物にとっては息苦しい状態になりがちです。風通しを良くする対策が必要です。
建物の何階か
①高層階
基本的に高いところの方が風通しは良好です。しかし、高層階になればなるほど非常に強い風が吹きつけます。物を置く危険度もあがるので、注意が必要です。
②低層階
高層階に比べると風通しはよくない事が多いです。しかし、周辺の環境や、窓の有無や向きによって大きく変わってきます。
「うちのベランダ、コンクリ壁と強化ガラスが半々やわ。風通し悪いかも!」
「大丈夫! 風通しをよくする裏ワザがありますよ。」
◎「風通し」をよくする裏ワザ
①レンガを敷く
ひとつめの裏ワザは、プランターの下にレンガを敷くこと。プランターの底を床面から浮かせて空気の通り道を作り、「風通し」を確保します。
②扇風機で空気の流れを作る
ふたつめは、小型充電式の扇風機で空気の流れを作ること。「扇風機で?」と思われるかもしれませんが、植物にとってはかなり助かります。特に電源不要のソーラー式扇風機(サーキュレーター)がオススメです。
「気温30度以上の時は回しっぱなしでOKです。ただし、雨の予報が出ている時は漏電の恐れがあるのでしまってくださいね。雨の日は気温が上がらないので、植物としても問題ありません。」
3.生活や防災上の必須条件
「3つ目のポイントは、生活や防災上の必須条件です。植物をベランダで育てるうえで、必ず押さえておきたいポイントです。」
「なんだか難しそうな…」
「いえいえ、難しいことではありません。生活や防災上の必須条件というのは、
・生活するために必ず備わっている設備(室外機など)、
・確保しなければならない導線(洗濯スペースなど)、
・防災上ものを置いてはいけない場所(非常用ハッチなど)、
のことです。室外機や洗濯スペースを考慮せずに植物を置くと必ず不具合が出てきますし、非常用ハッチに物を置いたりすることは災害時にとても危険です。」
「具体的な例を、見ていきましょう。」
◎「生活や防災上の必須条件」の具体例
①エアコンの室外機排
室外機の排気部分の前は、ファンの強い風が直接当たり、植物にはよくありません。室外機の前には鉢やプランターを置かないようにしましょう。
②非常用ハッチや戸境壁
ベランダは、災害時に避難路として使われます。非常用ハッチの上に物を置くと、ハシゴを下せなくなり、戸境壁(仕切り板)の前を塞ぐと、避難時に危険です。
③排水溝
排水溝はお隣と繋がっています。植物の葉っぱや花びらが落ちて排水溝に流れ込んでしまうと、排水詰まりを起こしてしまいます。こまめに掃除をしましょう。小さなザルを排水溝に被せると枯れ葉やゴミが溜まるのを防ぐことができます。
④物干しスペース
洗濯物を干すスペースは確保しましょう。特に、布団や毛布など大きなものを干すことを想定しておくことが大切です。
「マンションやアパートなどの集合住宅の場合、ベランダは共用部分です。必ずベランダ使用に関する規約がありますので、よく確認してください。今回挙げたもの以外にも、各住宅の規約上問題になる場合があります。」
※詳しくはこちらの記事で解説しています。ご一読ください。
「さて、ここまでは、ベランダでガーデニングをするときに確認する3ポイントについて説明してきました。続いてはベランダの条件ごとのより詳しい解説をしていきます。もちろん、花坂家のベランダ特性も見ていきますよ。」
「ええっと、うちのベランダの特性は、南向きで日当たり良好、壁はコンクリートと強化ガラスだから風通しはイマイチで……」
「そうそう。そんな風に、ご自宅をイメージしながら、聞いていてください。」
\ はたさんとアルスケのチョキチョキライフ /
大阪堺の刃物メーカー・アルスコーポレーションのマスコット、赤いワニの「アルスケ」と、ガーデニング研究家のはたさん(畑明宏さん)がお届けする『はたさんとアルスケのチョキチョキライフ』。2020年はとある住宅街のマンションに暮らす「花坂さん一家」がアルスケとはたさんとの出会いをきっかけに、ベランダで“キッチンガーデン”に取り組む様子を描きます。
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