レモン・ブルーベリーを鉢植えで育てよう(イラスト解説)|ビギナー目線でベランダガーデニング
はたさんとアルスケに教わりながら、初心者でもできるキッチンガーデンづくりのガーデニング計画を立てた花坂ファミリー。今回は、レモンとブルーベリーのオススメ品種、苗木の選び方、育て方を学びます。作業内容がわかりやすいイラスト解説なので、ビギナーさんも安心です!
▼前回の記事「5月からのガーデニング|ビギナーさんにオススメの野菜、管理できる鉢やプランターの数」
野菜・くだもの・エディブルフラワー(食べられるお花)・ハーブなどを彩りよく植えた、”見る”と“食べる”が楽しめるお庭のこと。この連載ではベランダで無理なくできるビギナー向けキッチンガーデンのアイディアをたくさん紹介していきます!
「さて、さっそくレモンとブルーベリーについて、苗木の選び方や育て方をみていきましょう。」
「栽培が難しい果樹の中で、レモンとブルーベリーは比較的育てやすいと言えます。ぜひ育てて、自家製のくだものを楽しみましょう!」
《目次》
2.レモンの育て方
果樹を育てる基礎知識
「さて、まずは大まかに、レモンやブルーベリーなどの果樹をベランダで育てるときの流れを覚えておきましょう。」
①果樹の「苗木」を購入する
②苗木を適切な植木鉢に「植え付け」する
③果樹の特性に合わせて「水やり」をする
④次の1年に向けた「お手入れ」をする
・適切なタイミングで「肥料」をやる
・枝を間引く「剪定(せんてい)」をする
⑤収穫
「まびく……? せんてい……?」
「ちょっと難しいよね。家庭果樹の栽培における剪定(せんてい)は、多すぎる枝を減らして日当たりや風通しをよくしたり、暮らしの邪魔にならないように高さや幅を調整する作業のこと。家庭果樹を育てるには欠かせないんだよ。」
「レモンやブルーベリーって、何年くらいで収穫できるものなんですか?」
「あとで詳しく説明しますが、レモンは2年目に1~2個、3年目から徐々に実らせる数を増やします。ブルーベリーは2年目からしっかり収穫できますよ。」
「まあまあ掛かるもんですねえ…」
「やっぱり木ですからね。どうしても早く収穫したいなら”3年目”の苗を購入するという手もあります。ただ、かなり育った状態なのでおうちに運び込むのが大変だったり、送料がかかってしまったり、気を付けなければいけないこともあります。」
レモンの育て方
◎レモンをオススメする理由
「キッチンガーデンでレモンをオススメする理由は、3つあります。」
①レモンは無農薬で育てやすい
第一に、病虫害が少ないので、無農薬でも育てやすいこと。アゲハチョウの幼虫だけは注意しなくてはいけませんが、その他の病虫害はほとんどありません。無農薬で育てられるので、皮ごと食べても安心です。
②レモンは鳥が食べに来ない
実のなる木を育てると、鳥が寄ってくるのが心配ですよね。特にマンションのベランダは他の住人の方に迷惑になってしまいます。その点レモンは柑橘類の中でも酸が強いので、鳥は食べません。防鳥ネットなしで済むのもオススメポイントですね。
③レモンは実が熟しても勝手に落ちない
レモンは実が熟しても、枝に付いたままで落下しません。あわてて収穫する必要がなく、比較的風にも強いので、ベランダで育てるのにオススメなのです。
◎レモンの基礎データ&年間作業の流れ
《レモンの基礎データ》
植え付け | 3~5月 |
収穫期 | 12~4月 |
寒さ | やや弱い(マイナス2~4℃まで) |
暑さ | 強い |
特性など | 日あたりの良い場所を好みます。 |
《レモン栽培の3年間》
1年目 | 3~5月 | 苗木購入・植え付け |
---|---|---|
6~10月 | 水やり(乾いたら) | |
11~12月 | なし(※1) | |
2年目 | 1~2月 | 肥料 |
3~4月 | 春剪定 | |
5~10月 | 水やり(乾いたら) | |
夏 | 摘果(1~2個にする) | |
10~11月 | 秋剪定 | |
12月 | 初収穫(1~2個) | 3年目 | 1~2月 | 肥料 |
3~4月 | 春剪定 | |
5~10月 | 水やり(乾いたら) | |
夏 | 摘果(4~5個にする) | |
10~11月 | 秋剪定 | |
12月 | 収穫(4~5個) |
※1.11~12月は土が乾燥しないため、水やりも行わない。
◎レモンのオススメ品種
🍋リスボン
南カリフォルニアで開発された、レモンの主力品種のひとつです。トゲはやや多いものの、暑さ・寒さに強く、果汁が多く香りが強いのが特徴です。お料理に絞ったり、ジュースやお酒の割材にもピッタリですよ。
🍋マイヤーレモン (メイヤーレモン)
レモンとオレンジが自然交雑してできたといわれている品種です。少し丸みを帯びていて、熟すとややオレンジがかった色味になります。酸味がマイルドで甘みがあり、良い香りがするのが特徴です。皮が薄めなのではちみつレモンにしたり、焼き菓子に乗せたりと、皮ごと楽しめるのが魅力です。
◎レモンのくわしい育て方
《苗木の選び方》
レモンの良い苗木のポイントは3つです。苗木を選ぶ際は、参考にしてください。
💡葉の枚数が多いもの
💡主幹が太いもの
💡鉢底穴から根が出ているもの
《植え付け方》
🌱植え付け手順
①直径30cm以上の大きめの鉢を準備する
②鉢底が隠れるくらいに鉢底石を敷き詰め、市販の園芸用土を入れる。
排水性がよくなるので、1割ほど砂を混ぜるのがオススメです。
③ビニールポットを外し、植え付る。
④地表面にバーク堆肥を敷き詰める。
園芸用土・砂・バーク堆肥はネット通販などで購入することができますよ。
⑤鉢の下にレンガや木っ端を置く(排水と通気性をよくするため)。
🌱植え替えのタイミングは?
4~5年に1度、成長にあわせてひと回り大きな鉢に植え替えましょう。
※枝先の「カット」についてはこちら
《水やり》
地表面のバーク堆肥が乾いたら、鉢底から流れるまでたっぷり水をやります。
《肥料のやり方》
1月から2月、発酵油かすの中粒などの置き肥(※1)を説明書き通りに与えます。基本的に園芸用肥料であればOKです。
※1.置き肥…土の上に置くタイプの肥料のこと
《剪定(せんてい)の仕方》
✂STEP1. 植え付け時、主幹の上部3分の1を切り落とします。
✂STEP2.
植え付けから1~2年後、主幹から成長した枝の先端を切り落とします。切り落としたところから枝が生え、増えていきます。
✂STEP3.
植え付けから3~4年後、カットしたところから枝が増えた状態。出来る限り枝の数を多くすると、実付きが良くなります。
2~3年目は実がつきそうになったら「摘果(てきか/実を摘みとる)」を行いましょう。果樹は実をつけるのに大変パワーを使います。木として若いうちはパワーを温存させ、樹勢を高めましょう。2年目に実らせるのは2~3個、3年目は4~5個くらいがちょうど良いです。
\ レモン苗木のお手入れについてはこちらの記事で! /
ブルーベリーの育て方
◎ブルーベリーをオススメする理由
「ブルーベリーをオススメする理由は、3つあります。」
①ブルーベリーは無農薬で育てやすい
レモン同様、ブルーベリーも病気や害虫に強い植物です。生で食べることを考えると、やはり無農薬で育てられるのは重要なポイントです。
②ブルーベリーは樹高が高くならない
ブルーベリーは植物の中で落葉低木果樹に分類されます。成長しても1.5~3mほど。あまり高くなりません。ベランダで育てるうえで、これも大事なポイントです。
③ブルーベリーはたくさん実る
ブルーベリーは、とにかくたくさん収穫できるのが嬉しいところ。せっかく育てるなら、たくさんの実りを楽しみたいですよね。
◎ブルーベリーの基礎データ&1年間の流れ
《ブルーベリーの基礎データ》
植え付け | 3~4月 |
収穫期 | 6~9月上旬 |
寒さ | 品種によって異なる |
暑さ | 品種によって異なる |
特性など | 日向が好き。2種類の苗木が必要。 |
「どうして2種類の苗木が必要なんですか?」
「それは、 ブルーベリーが持つ自家不和合性(じかふわごうせい) という”自家受粉”を防ごうとする性質のためです。簡単に言うと、同じ花(株)の花粉では実をつけにくいんですね。」
「ですから、ブルーベリーを育てる際は、異なる2品種を植える必要があります。」
《ブルーベリー栽培の年間作業 》
1年目 | 3~5月 | 苗木購入・植え付け |
---|---|---|
6~10月 | 水やり(乾いたら) | |
11~12月 | なし | |
2年目 | 1~2月 | 肥料 |
3~5月 | 水やり(乾いたら) | |
6~10月 | 初収穫(実った分だけ収穫してOK) | |
10~12月 | 秋剪定 ※水やりなし |
※以降2年目の作業を繰り返し。
◎ブルーベリーのオススメ品種
ブルーベリーの品種は非常に多岐に渡りますが、暑さに強く育てやすいのは、「ノーザンハイブッシュ系 」 もしくは「ラビットアイ系 」。以前「西先生のプロの園芸作業」で育てていたものを比較した表がこちらです(※2)。
品種名 | 収穫開始 | 実の重さ | 樹の形 | 備考 | アーリーブルー | 6月上旬 | 2.0g | 中 | 香りがよい |
デューク | 6月上旬 | 1.7g | まっすぐ | 小つぶ |
スパルタン | 6月上旬 | 2.7g | まっすぐ | 数は少なめ |
チャンドラー | 6月上旬 | 3.0g | 横広がり | 大つぶ(数は少なめ) |
ダロウ | 6月上旬 | 2.5g | 横広がり | 大つぶで生食向き |
品種名 | 収穫開始 | 実の重さ | 樹の形 | 備考 | ウッダード | 7月上旬 | 1.9g | 横広がり | やや実りが不安定 |
ホームベル | 7月上旬 | 1.4g | 横広がり | 豊産・甘くおいしい |
ティフブルー | 7月上旬 | 1.9g | まっすぐ | 豊産・甘くおいしい |
※2.2016年5月現在、関東以西でのデータです。生育環境により育ち方は異なります。
「めっちゃある!」
「いえいえ、これでもほんの一部です。ブルーベリーにはまだまだたくさんの品種があるんですよ。この中で最も流通量が多いのはホームベルですね。ただ、育てやすさや味わいに大きな違いはないので、入手しやすい2品種を植えればOKです。」
「2品種は、同じ系統から選んだ方がいいんですか?」
「いえ、系統は気にしなくて大丈夫です。例えばノーザンハイブッシュ系のアーリーブルーとラビットアイ系のホームベルを選んでも、問題なく実をつけてくれます。」
◎ブルーベリーのくわしい育て方
《苗木の選び方》
ブルーベリー苗木選びのポイントは3つ。苗木を選ぶ際は、参考にしてください。
💡葉の枚数が多いもの
💡主幹が太いもの
💡鉢底穴から根が出ているもの
《植え付け方》
🌱植え付け手順
①直径20cm以上の大きめの鉢を2つ準備する(2品種植えるため)。
②鉢底が隠れるくらいに鉢底石を敷き詰め、市販のブルーベリー用の土を入れる。
普通の園芸用土でもOKですが、
ブルーベリー用の土はネット通販などで簡単に入手できますよ。
③ビニールポットを外し、植え付る。
④地表面にピートモス(※3)を敷き詰める。
※3.ピートモス…苔が堆積してできた土壌改良材のこと。
⑤鉢の下にレンガや木っ端を置く(排水と通気性をよくするため)。
🌱植え替えのタイミングは?
4~5年に1度、成長にあわせてひと回り大きな鉢に植え替えましょう。
《水やり》
地表面のピートモスが乾いたら、鉢底から流れるまでたっぷり水をやります。
《肥料のやり方》
1月から2月、発酵油かすの中粒などの置き肥(※4)を説明書き通りに与えます(基本的に園芸用肥料であればOK)。置き肥が隠れるようにピートモスを敷きつめましょう。
※4.置き肥…土の上に置くタイプの肥料のこと
《剪定の仕方》
ブルーベリーは樹勢(木の勢い)がよく、植え付け後2~3年でイラストのような、ひこばえ(※5)が生えた状態になります。
※5.ひこばえ…地面や株元から出てくる枝のこと。太い幹に対して、孫(ひこ)に見立てて「ひこばえ(孫生え)」という。
✂STEP1.内側に伸びる枝や曲がった枝を切り落とします。
✂STEP2.太陽の当たらない下枝や混み合った枝を切ります。
ブルーベリーはとにかく元気! 赤いラインを参考に、似たような状態の枝を剪定してくださいね。
\ ブルーベリーの収穫や鳥対策についてはこちらの記事で! /
今回のおさらいと次回の予告
「さて、今回は、レモンとブルーベリーを鉢植えで育てる方法について、お伝えしました。」
「果樹をベランダで育てられるなんて想像もしていなかったけど、なんだかやれそうな気がしてきたなあ」
「収穫まで時間はかかるけど、成長を長くみられて楽しそうやね!」
「はやく剪定をやってみたい…!」
「どの枝を切るべきか考えながら作業する剪定は大変だけど、木の個性も感じられておもしろいと思うよ。ぜひ、ベランダで果樹栽培、挑戦してみてください。」
「はい! やってみます!」
「次回は、ベランダのキッチンガーデンに欠かせない、夏野菜やエディブルフラワーの育て方をお届けします。お楽しみに。」
▷次回【イラスト解説/ミニパプリカ・ミニキュウリ・イタリアントマトの育て方|5月に植えるプランター野菜①】につづく
ここまでお読みいただきありがとうございます。
第4話はベランダで育てるレモンとブルーベリーについてお届けしました。果樹は地面じゃなければ育たないと思っていたので、鉢植えで育てられると知ってびっくりです。
大阪はなかなか気温があがらず、4月の終わりでも朝晩は10度を下回る日が多い印象でしたが、いよいよ温かくなってきましたね。アルススタッフも早速キッチンガーデンを始めました。
\ 西洋ネギ・チャイブ、植えました! /
\ 芽が出ましたよ! /
成長がたのしみです!
📢 公式Twitter & アルスケinstagramでキッチンガーデンの様子を更新中!
最後に、アルスGクラシックシリーズより果樹の剪定にオススメの剪定鋏をご紹介します。
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それでは、次回をお楽しみに!
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