冬のエディブルフラワーの育て方 ビオラ&パンジー・ノースポールを育てよう
おしゃれなカフェで見かける、お花のあしらわれたケーキやドリンク。カラフルでなんとも素敵ですよね。トッピングされているお花は「エディブルフラワー」と呼ばれるもの。”エディブル(edible)”は「食べられる、食用の」という意味で、エディブルフラワーは日本語にすると「食べられる花」となります。
そんなエディブルフラワー、実はご家庭で育てることができます! 今回は冬におすすめのエディブルフラワー・ビオラ&パンジー、ノースポールの苗選びのコツや育て方を、ガーデニング研究家・畑明宏(はたあきひろ)さんによる写真解説でお届けします。
▼前回の記事「イチゴ(いちご・苺)をプランターで育てる5つのコツ」
野菜・くだもの・エディブルフラワー(食べられる花)・ハーブなどを彩りよく植えた、”見る”と“食べる”が楽しめるお庭のこと。この連載ではベランダで無理なくできるビギナー向けキッチンガーデンのアイディアをたくさん紹介していきます!
《目次》
今回は、ビオラ&パンジー、ノースポールをエディブルフラワーとして育てる方法をお教えします。
エディブルフラワー、育てたい!
ビオラやパンジーはいろんな色があって可愛いなあ
冬の花壇の主役、カラフルなビオラ&パンジーと、清楚な白い花のノースポールはキッチンガーデンを華やかにしてくれますよ。これからのシーズン、おもてなしのスイーツやお料理にもきっと活躍します!
楽しみ~!!
エディブルフラワーについて
🌼エディブルフラワーの基礎知識
エディブルフラワーの”エディブル(edible)”は英語で、「食べられる、食用の」という意味。エディブルフラワーを日本語にすると、そのまま「食べられる花」となります。見た目の美しさからケーキ・ゼリーといったスイーツやドリンクにあしらわれたり、最近はサンドウィッチやサラダ、変わり種ではオニギリにトッピングされることもあります。
🌼エディブルフラワーの味は?
見た目に美しいエディブルフラワーですが、食べるとなると味が気になりますよね。基本的に強い味のするものは少なく、ふんわりと柔らかな食感の葉物野菜をイメージするとよいかもしれません。お花の種類によっては辛みがあったり、ほんの少し蜜の甘みがあるものもあります。
トレニアは柔らかな歯触りで味はあまりなく、ナスタチウムは若干ピリ辛でした!
▼ こちらの記事でもエディブルフラワーの味についてご紹介しています
🌼エディブルフラワー専用の品種はあるの?
「エディブルフラワー」と呼ばれてはいますが、専用の品種があるわけではありません。基本的には普通の花を食用に栽培しています。自家栽培する際の方法や注意点は後述します。
🌼冬のエディブルフラワーにおすすめの花
冬のエディブルフラワーにおすすめなのは、ビオラ&パンジー、ノースポール(クリサンセマム/寒白菊)です。いずれもベランダや庭のプランターで育てやすく、この時期ホームセンターや園芸店で幅広く取り扱われています。11~12月に植え付けて、翌年の春(5~6月)まで長く楽しむことができますよ。
《ビオラ&パンジー》
最も代表的なエディブルフラワーと言っても過言ではない、パンジーとビオラ。どちらかというと小ぶりなビオラの方が活躍の場面は多いかもしれません。実はパンジーとビオラは植物としてはほぼ同じもので、花が5㎝よりも大きいものがパンジー、それより小さなものをビオラと呼びます。
いわゆる「3色スミレ」のイメージが強いパンジーとビオラですが、最近は多種多様な品種が登場しており豊富なカラーバリエーションを楽しめるのが特長。寒さに強く、栄養豊富でさっぱりしていて食べやすい味なのもオススメしたいポイントです。
▼ビオラについてさらに詳しくはこちらの記事で!
《ノースポール(クリサンセマム/寒白菊)》
ノースポール(クリサンセマム)はキク科フランスギク属で、寒白菊とも呼ばれます。白花で控えめな印象ですが、寒くてもきれいな緑を保つ葉とのコントラストが美しくキッチンガーデンの名脇役になります。日本では昔から食用菊がありますが、ノースポールもキク科の仲間だけあって似た味わい。ほろ苦さと華やかな香りが特長です。
エディブルフラワーを育てるポイント
基本的に普通の花を育てるのと同じではありますが、エディブルフラワーは口に入れるもの。無農薬(あるいは低農薬)で育てることが最大のポイントです。また、エディブルフラワーではない観賞用の花と同じプランターで育てるのもやめておくのがベターです。
🌼市販の花苗をエディブルフラワーとして育てるコツ
エディブルフラワーは、種から育てる場合と花苗から育てる場合があります。最近はオーガニックのエディブルフラワー用種のネット販売なども増えてきましたが、花を種から咲かせるのは初心者にはややハードルが高くもあります。
そこでおすすめなのが、市販の花苗をエディブルフラワーとして育てる方法。『市販の花苗には農薬や鮮度を保つ薬剤がついているんじゃない?』と心配になるかもしれませんが、これは、購入時についている花を摘むことで解決できます(※)。
※花苗についている農薬や薬剤は、振りかけるタイプと根から吸収されるタイプがあります。振りかけるタイプは花を摘むことで除去され、根から吸収するタイプは再び花が咲くまでの期間を無農薬で育てれば、植物の体内で分解されます。尚、どうしても気になる場合はオーガニックの種や花苗を探して育てるのがおすすめです!
▼さらに詳しい方法はこちらの記事の写真・イラスト解説でご確認いただけます!
エディブルフラワーの花苗選びのコツ
状態の良い花苗を選ぶと自ずと元気に咲かせやすくなります。花苗で一番大切なポイントは、実は根の状態。白い根が多いものが良い苗です。下の写真で言うと、左が「元気な良い苗」で右が「元気のない苗」です。左の方が葉が黄化せず生き生きとした緑色をしており、右の方が色の悪い葉があることがわかります。
実際に店頭で花苗を選ぶ際はポットから取り出して根を確認することは出来ないので、葉が黄化せず生き生きとしていて、花や花芽が多いものを選ぶようにしましょう。
また、出来るだけ蒸れが発生しないことが望ましいので、下の写真のようにある程度間隔をあけて陳列されているものを選ぶのもコツです。
エディブルフラワーの育て方
今回エディブルフラワーとして育てるビオラ&パンジー、ノースポールは11~12月に植え付けましょう。日あたりの良い環境を好むので、明るい場所に置いてあげてください。
✍準備するもの
・ビオラ、パンジー、ノースポールの苗
・プランターもしくは鉢(5~6号のもの)
・鉢底石
・園芸土(肥料入り)
・土に混ぜ込むタイプの肥料
・バーク堆肥
・液肥
・園芸用具(グローブ・収穫用はさみなど)
✍プランターや鉢の準備
まずは、プランターや鉢の準備をしましょう。底が隠れるくらい鉢底石を入れ、次に9分目まで園芸用土を入れてください。土が湿っていない場合は十分湿らせましょう。
✍花苗を植え付ける
準備ができたら花苗を植え付けましょう。寒さに強い野菜のリーフレタスやパセリと一緒に寄せ植えにするのも面白いと思います。植付け後は、バーク堆肥を地表面に敷き詰め地表面が見えないようにすれば、保温や保湿効果が高まり成長を促進させます。
ビオラの場合、白花より黄色やオレンジ色の苗の方が冬場の花付きが良いですよ!
✍花摘み
園芸店やホームセンターの花苗は、花が咲いた状態で売られています。この花には鮮度を保つための薬剤や農薬が付着している可能性があり、食用にはできません。
花苗からエディブルフラワーを育てるときは、購入時についている花をすべて摘んでしまいましょう。花摘みのポイントはこちらの記事で。摘んでしまった花はドライフラワーにして楽しむのも良いかもしれません。
✍水のやり方
地表面が乾いたら、たっぷりと水をやりましょう。プランターの底から流れるくらいが目安です。鉢底にレンガなどを敷くと風通しがよくなりますよ。
✍肥料のやり方
2週間に1回、液肥を与えます。
💡寒い時期に花付きが悪くなったら?
寒い時期に花付きが悪くなってしまったら、低温でも比較的即効効果のあるハイポネックスなどの液体肥料を与えてみましょう!
✍病虫害対策
水をやりすぎるとナメクジが発生してしまいます。水やりは、必ず地表面がしっかり乾ききったタイミングで行いましょう。また、アブラムシは、もし発生してしまったら水で洗い流すようにしましょう。追肥が原因で病虫害が発生する場合もあるので、発生した時は一旦追肥をやめてくださいね。
✍収穫
花が咲いたらどんどん収穫しましょう。花の軸ごと収穫するのがポイントです。軸がついていると種がついてしまい、株が弱ってしまいます。
✍切り戻し(摘芯)
4月頃、成長が旺盛になり株全体が込み合ってきたら、大胆に半分程度まで茎葉を刈り込みましょう。蒸れ解消にもなり5~6月まで美しい開花を楽しむことが出来ますよ!
収穫&切り戻しにはクラフトチョキがオススメです!
刃物のソムリエ・アルスケのオススメ道具
「こんにちは。刃物ソムリエのアルスケです! 今回の作業にオススメの刃物をご紹介します。」
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今回のおさらいと次回の予告
今回は、冬のエディブルフラワーの育て方をお届けしました。
エディブルフラワーを育てると、育てる楽しみ、見る楽しみ、食べる楽しみとガーデニングの様々な良さを味わうことができます。とってもオススメですよ!
見て食べて楽しめるなんて、最高です!
次回は「ハーブの冬越し方法について」をお届けします。お楽しみに!
▷次回【 ハーブの冬越し方法について 】につづく
ここまでお読みいただきありがとうございます。
🐊アルスケの近況
アルスケもエディブルフラワーを育て始めました。
購入時に咲いている花は食用にできないので摘んでしまいます。とっても綺麗なので、アルスケはドライフラワーにしてみるようですよ!
Instagramにて生長の様子をお届け中です。ぜひご覧ください。
それでは、次回をお楽しみに!
📢 公式Twitter & アルスケinstagramでキッチンガーデンの様子を更新中!
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大阪堺の刃物メーカー・アルスコーポレーションのマスコット、赤いワニの「アルスケ」と、ガーデニング研究家のはたさん(畑明宏さん)がお届けする『はたさんとアルスケのチョキチョキライフ』。2020年はとある住宅街のマンションに暮らす「花坂さん一家」がアルスケとはたさんとの出会いをきっかけに、ベランダで“キッチンガーデン”に取り組む様子を描きます。