シンボルツリーを選ぶ3つのポイントとお手入れのコツ|種類別おすすめベスト3つき
最近よく耳にするようになった「シンボルツリー」。シンボルツリーとは、住まいのシンボルとなるような樹木のことを言います。
今回は、自宅にぴったりのシンボルツリーを選ぶ3つのポイントと、初心者でもできる「木を大きくし過ぎないお手入れ」のコツ、常緑樹・落葉樹・果樹(果物のなる木)の種類別おすすめベスト3を、樹木医でガーデニング研究家の畑明宏(はたあきひろ) さんに教えていただきました。
《目次》
はたさん、相談です。私の妹がこんど家を建てるんやけど「シンボルツリーを植えたい」と言っているんです。シンボルツリーをどうやって選べばいいか、教えてもらえませんか?
なるほど。妹さんはガーデニング初心者ですか?
はい、全くの素人です。妹は「初心者でもお手入れが簡単で見栄えがよくてあんまり高くならない木がいいな~」なんて言ってます…。
了解です! 植物を育て始める上で、無理をしないのは大切なこと。初心者の方にも無理なく管理できるよう、シンボルツリーの選び方をお教えしましょう!
さらに、初心者の方でも安心な、シンボルツリーを大きくし過ぎないお手入れのコツもご紹介します。
シンボルツリーとは?
最近よく耳にするようになった「シンボルツリー」という言葉。シンボルツリーとは、言葉の通り住まいの顔(シンボル)になる樹木のことです。
シンボルツリーは庭の中心や玄関、門の近くに植えます。姿の美しい庭木があれば家の魅力や外観が引き立ちますよ。
住まいとともに育つシンボルツリーとは長く付き合うことになります。成長を楽しめるよう、事前に「どんな木を植えるべきか」をじっくり考えておきましょう!
シンボルツリー選び方!3つのポイント
シンボルツリーを植えようと決めたら、すぐに「なんの木を植えようかな?」と木の種類を選ぼうとしていませんか?
実は、木の種類選びの前に、シンボルツリーを長く楽しむために考えておくべき大切な3つのポイントがあります。
そのポイントとは、
の3点。
一般的にシンボルツリーは造園屋さんや住宅メーカーさんから入手する場合が多く、シンボルツリーを購入する前には「どんな木がいいですか?」と要望を聞かれると思います。
その時この3つのポイントを押さえておかないと、思っていたのと違う木が届いてしまうかもしれません。
事前に購入先にイメージを伝えておけば、予算に合った提案をしてくれます。「想像以上に育った木が納品されてしまった…」「思っていた樹形と違う…」なんてことにならないよう、「我が家のシンボルツリー」のイメージをしっかり考えておきましょう。
もちろん、ご自分で木を選んで植える時にも参考にしてみてください。
好きな葉っぱの色や風通しの状況、自分でお手入れするか業者さんに依頼するか、植える場所が周囲からどう見えるか、などなど、考えてみましょう!
常緑樹と落葉樹、どちらを選ぶか
1つめのポイントは、常緑樹と落葉樹のどちらを選ぶかです。常緑樹と落葉樹には葉の厚みや季節による色見の変化など、異なる点があります。両者の違いを比べて、より好みや住まいの条件に合う方を選びましょう。
🌳常緑樹のシンボルツリー
常緑樹とは「幹や枝に一年を通じて緑の葉がついている植物」のことで、代表的なものだとオリーブや椿、キンモクセイなどです。
|常緑樹のいいところ
常緑樹の葉は分厚く艶やかです。冬でも葉があり、年間を通して落ち着いた濃い緑を楽しむことができます。また、通りからの目隠しにもなります。
|常緑樹のデメリット
常緑樹の葉は厚みがあるため、あまり光を通しません。木漏れ日を楽しみたい場合は向かないでしょう。葉が茂ってくると薄暗くなってしまうので、こまめな剪定が必要です。
🍂落葉樹のシンボルツリー
落葉樹は「ある季節になると葉を枯らして落とす植物」のことを言います。桜やアジサイ、モミジやイチョウが有名です。
|落葉樹のいいところ
毎年新葉が出るため、葉が薄く、明るい印象です。爽やかな緑や木漏れ日を楽しみたいのなら落葉樹がおすすめです。落葉樹は冬に寂しくなりますが、緑の葉が紅葉していく季節のうつろいを感じられるのが魅力です。
|落葉樹のデメリット
落葉樹は冬の落ち葉そうじが少し大変というデメリットがあります。ご自宅が風の強い場所にある場合は、落ち葉が飛びやすくなってしまうので落葉樹はあまりオススメできません。
ちなみに、落葉樹に比べれば少ないですが、常緑樹も5月頃に新葉を出して古い葉を落とすので、落ち葉が全く出ないわけではありません。
自宅に合った樹高(木の高さ)を考える
続いてのポイントは樹高(木の高さ)。シンボルツリーを入手する際、自宅に合った樹高(木の高さ)をイメージしておくことはとても重要です。
なぜかというと、あまり考えずに初めから高く育った木を入手してしまうと、すぐに手に負えなくなってしまうからです。低い木もいずれは高くなりますが、初めから高い木を植えてしまうと想像以上にぐんぐん伸びて大変なことに。
シンボルツリーの木を自分で入手するときはもちろん、造園屋さんや住宅メーカーさんから入手する際は「このくらいの高さの木を植えたい」とあらかじめ伝えておくことが大切です。
❔「高くならない木」はないの?
「お手入れが大変だから高くならない木を植えたい」という声をよく耳にします。木は生き物なので生長を止めることはできませんが、生長速度が比較的遅めの樹種もあります。どうしてもお手入れの頻度を低めにしたい場合は、そういった庭木を選ぶのがよいでしょう。
もちろん生長速度に違いはあってもいずれは大きくなるので、1~2年に一回は剪定(せんてい)をして一定の高さを保つのがおすすめです。
「高くならない木」を重視して低木の樹種を選ぶこともできますが、シンボルツリーとしては低すぎてしまうかもしれません…。
シンボルツリーの高さを選ぶときは、以下の高さを目安にしましょう。
✅お手入れしやすいのは樹高「2m」
最もお手入れしやすいのは、人の背丈くらいの「2m」。気楽に剪定ばさみでお手入れができる高さです。踏み台に乗るとしても低めのものでOK。一般家庭のシンボルツリーなら、2mほどの木を植えて、ときどき剪定しながら高さを保つのが一番気楽かもしれません。
2mより低い木はダメなんですか?
2m以下の木だと、枝葉の数が少なくて「シンボルツリー」にはあまり向かないかもしれないなあ。
また、植木屋さんやホームセンターで木を購入して自分で植付けする場合にも、2mくらいの高さの木ならまだ扱うことが可能です。これ以上育ったものだと重た過ぎて、プロの手を借りなくては取り扱いが難しくなります。
✅玄関扉の高さなら樹高「2.5m」
玄関扉ほどの高さなら2.5m。170㎝くらいの人なら踏み台(小さな脚立)に乗って剪定ばさみでお手入れができる樹高です。
✅自力でお手入れ可能な樹高は「3m」まで
ほとんどの方が「シンボルツリーは自分でお手入れしたい」と考えていると思います。庭木のお手入れは基本的に剪定ばさみや高枝切りばさみを使った剪定作業ですが、脚立に乗って剪定ばさみで作業できるのは樹高は3mくらいまでと考えておくのがよいでしょう。3mは、だいたい1階と2階の区切りくらいの高さです。
伸縮可能な高枝切りばさみは3m程に伸ばせるものが多数ありますが、切断対象物を視認することを考えると、やはり樹高3mくらいに留めておくのが無難です。
ちなみに3m以上になると業者さんに剪定作業を頼む必要が出てきますが、高所作業になってしまうので危険度が高く、依頼料も高額になってしまいます。
▼ 「高くなる木は大変そう…」という方には「果樹盆栽」もおすすめ!
「1本立ち」か「株立ち」か ~木の見え方を考えよう~
第3のポイントは、「1本立ち」か「株立ち」どちらを選ぶか。これは木をどこに植えて、どのように見せたいかによってどちらを選ぶかが変わってきます。
まず、同じ種類の木でも 「1本立ち」のものと「株立ち」のものがあります。「1本立ち」とは主要な幹が1本の樹木のこと。一方「株立ち」とは幹が2本以上のもののこと。樹種にもよりますが、基本的に「株立ち」の方が高額の設定になっています。
例えば同じ白樫(シラカシ)の木でも「1本立ち」で用意してもらったり、「株立ち」で用意してもらうことができます。
「1本立ち」と「株立ち」には以下のような違いがあります。
「1本立ち」の見え方
「1本立ち」は主要な幹が1本で、庭木の表裏がはっきりしています。正面から見ると美しく、玄関先などに植える場合におすすめです。しかし、裏側は葉が少ない場合があり、多方面から見える位置に植える場合は寂しいかもしれません。
「株立ち」の見え方
「株立ち」は幹が2本以上あり、四方に枝葉が広がりやすく、表裏がありません。どの方向から見ても楽しむことができるので、庭の真ん中に植えるなど多方面から鑑賞したい場合は「株立ち」がおすすめです。
初心者の方も安心、シンボルツリーを大きくし過ぎないお手入れのコツ
庭木を植えるときに心配なのがお手入れ。特に初心者の方は「どんどん大きくなって手に負えなくなったらどうしよう…」と不安になってしまいますよね。
そこで、ここでは庭木を大きくし過ぎず、美しい樹形のまま保つお手入れのコツをお伝えします。
ほんの少し手を入れるだけで、木が大きくなり過ぎるのを防ぐことができます!
元のままの高さを保つ! 年1回は剪定しよう
木を大きくし過ぎず樹形を保つコツは、ズバリ! 年に一回は必ず剪定をすること。剪定(せんてい)とは余分な枝や葉を切り落として樹形を整えることです。
木が大きくなり過ぎるのを防ぐには、時折手を入れることがどうしても必要。ですから、落葉樹なら11月~2月の冬季に1回、常緑樹なら初夏~梅雨前(本格的に暑くなる前)に1回の剪定を行いましょう。
「どこを切ったらわからないよ~!」という場合は、とにかくはみ出しているところカットしてみてください。
\ 更に詳しく知りたい方はこちら! /
ここでアルスケおすすめの剪定用刃物をご紹介。プロも認める切れ味です!
■造園屋さんも使う! 本格剪定ばさみブイエスシリーズ
果樹農家さん、造園屋さんなどプロの現場で使われている、ブイエスシリーズ。切れ味・耐久性ともに現場での酷使に耐えるプロ仕様の剪定ばさみです。簡単安全ストッパーを採用なので片手でスムーズに開閉することができ、効率的に剪定作業を行えます。
手の大きさにあわせてS(VS-7Z)、M(VS-8Z)、L(VS-9Z)の3つのサイズから選べます。また、経済的な替刃式を採用しているので、長く使用できるのも魅力です。
■初心者の方におすすめ、軽量伸縮式高枝鋏ズームチョキエコノ
ズームチョキエコノは伸縮するタイプで1.8~3.0mまで3段階の長さで使用できます。高枝切りばさみが初めての人にも使いやすい設計になっており、ノコギリもセットで付いてくるのでパイプに取り付ければ太めの枝もカットOK。重さは1.3kgで、耐久性にも優れています。
●採収タイプ(160ZD-3.0-3D) 切断目安:生木12㎜(ツカミ取り外し時)
初心者向けなら妹でも使えるかも!
おすすめのシンボルツリー・種類別ベスト3
シンボルツリーにオススメの庭木(樹種)・種類別ベスト3でお届けします!
●常緑樹のシンボルツリーにおすすめの庭木
|白樫(シラカシ)
白樫(シラカシ)は、ブナ科コナラ属の常緑樹。葉が細長くスタイルの良い庭木です。丈夫でお手入れしやすく、適切に剪定すれば樹高を保つのもカンタンです。
|ナナミノキ
ナナミノキ(七実の木)はモチノキ科モチノキ属の常緑樹。樹形が広がるタイプで、存在感があります。生長は比較的ゆっくりめで、お手入れもしやすい庭木です。
|ソヨゴ
ソヨゴはモチノキ科モチノキ属の常緑樹。別名フクラシバとも。ソヨゴの木は葉の縁が波打っています。「風にそよいで葉が特徴的な音を立てる」のが命名の由来と言われ、音も見た目も爽やかな雰囲気です。
●落葉樹のシンボルツリーにおすすめの庭木
|エゴノキ
エゴノキはエゴノキ科の落葉樹。名前の由来は「実を食べるとえぐい」ことから。全国的に見られ、暑さに強いので、西日が当たる場所でも葉焼けしにくいです。丈夫で育てやすい木です。
|イロハモミジ
イロハモミジはムクロジ科カエデ属の落葉樹。新緑や紅葉が楽しめる庭木です。枝を横に広げることも可能です。 比較的生長はゆっくりめ。
|アオダモ
モクセイ科トネリコ属の落葉樹。最近シンボルツリーとして人気です。枝葉が少なく、幹も太くなりにくいので、軽やかです。 比較的上の方に葉がつきスレンダーな印象です。
☆おまけ! シンボルツリーにできる果樹(果物のなる木)
一般的に果物のなる木はシンボルツリーにするイメージが強くないかもしれませんが、果樹でもシンボルツリーにすることができます。シンボルツリーとして育てて、収穫も楽しめて、一石二鳥です!
|レモン
レモンはミカン科ミカン属の常緑樹。丈夫で初心者の方にも育てやすく、剪定にも耐えるのでお好みの樹形で楽しめます。実を収穫すれば、自家製の無農薬レモンでレモンスカッシュやレモンサワーを作れますよ!
|ジューンベリー
ジューンベリーはバラ科ザイフリボク属の落葉樹。丈夫で育てやすく、2mくらいの高さでも実をつけてくれます。赤い実は見た目にも愛らしく、やや種が多いですが自家製ジャムにして楽しむことができますよ。
今回のおさらいと次回の予告
今回は、シンボルツリーを選ぶ3つのポイントや、お手入れ方法についてお届けしました。
早速妹に伝えて、シンボルツリー選びに役立ててもらいます!
シンボルツリーは文字通りお家のシンボルとなるもの。ぜひしっかり選んで、素敵な木を迎えてください!
次回は「種から育てる野菜作り」をお届けします。お楽しみに!
▷次回【種から育てる野菜作り】につづく
4月に入って園芸シーズン到来!と思いきや、暖かい日と寒い日が行ったり来たりですね。早く気温が安定してくれることを願いつつ、今年育てる夏野菜に思いを馳せています。
🐊アルスケの近況
果樹盆栽、ちゃくちゃくと成長! ブルーベリーは小さなお花が咲き始めました。とっても可愛いです。
Instagramにてアルスケのキッチンガーデンの様子をお届け中です。ぜひご覧ください。
それでは、次回をお楽しみに!
📢 公式Twitter & アルスケinstagramでキッチンガーデンの様子を更新中!
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大阪堺の刃物メーカー・アルスコーポレーションのマスコット、赤いワニの「アルスケ」と、ガーデニング研究家のはたさん(畑明宏さん)がお届けする『はたさんとアルスケのチョキチョキライフ』。2020年はとある住宅街のマンションに暮らす「花坂さん一家」がアルスケとはたさんとの出会いをきっかけに、ベランダで“キッチンガーデン”に取り組む様子を描きます。